豪南オーストラリア州ヴィクターハーバー近くのグラニット島で今月1日、岩場で撮影をしていた10代の男性が大波にのまれて流された。男性は日本時間9日の時点でも行方不明のままだが、家族は「なんとか見つけたい」と今も捜索を続けている。事故直前の様子を捉えた動画とともに、豪ネットメディア『7NEWS』などが伝えた。
1日午後3時過ぎ、グラネット島の岩場で撮影をしていたメフディ・ハビビさん(Mehdi Habibi、16)が大波にさらわれて行方不明になった。グラネット島は南オーストラリア州の州都アデレードから約83キロ南に位置するヴィクターハーバーから近く、観光客に人気がある場所で、メフディさんは家族と一緒に父の日(9月の第一日曜)を祝い、ビーチピクニックを楽しんでいた。
しかしながらその日、海は荒れていて波が高く強風で、悲劇の事故を目の当たりにした弟のサヒルさん(Sahil、14)は、当時のことをこのように振り返った。
「実は事故直前、兄に『岩の上でポーズを取るから写真を撮って』と頼まれてね。でもその後、兄は波にのまれ流されてしまったんだ…。」
当時の動画では、上半身裸で黒いズボンをはいたメフディさんが大きな岩の上に乗っているのが分かり、一歩前に進んだ瞬間、足を滑らせ尻持ちをついている。そしてそのまま岩から転落し、体勢を立て直そうとしているが、結局は岩の上にあがれないまま大波にのまれてしまったのだった。
その後、メフディさんが浮上することはなく、現場には救急隊がすぐに駆け付けたものの、悪天候のため捜索は難航した。
この事故を受け、メフディさんの母親はストレスからくる高血圧で入院してしまったそうで、父親のサイードさん(Sayed)は事故から8日が経過しても見つからない息子について、次のように述べていた。
「私たちはあの子の捜索を諦めてはいないよ。だからヴィクターハーバーには事故以来毎日、息子が見つかることを信じ、家族や友人らと一緒に朝から夕方の6時まで戻ってきている。今のままでは普通の生活を送ることができなくなっているからね。ただ当局からはなんのアップデートもない状態さ。」
メフディさんとサヒルさん兄弟はアフガニスタン出身で、母親と一緒に昨年、サイードさんや親類が住むアデレード近郊のブレア・アソルに難民としてやって来たばかりだった。「より良い生活をしたい」と願ってのことで、家族揃って父の日を祝うのは実に14年ぶりだったという。
またメフディさんは今月13日が17歳の誕生日で、サヒルさんは「兄のことは大好きだよ。今回の事故は僕にとっても家族にとっても本当につらいんだ」と苦しい胸のうちを明かしていた。さらに兄弟の叔母ファへマ・ハビビさん(Fahema Habibi)は「ブレア・アソルに住む家族は取り乱し、悲嘆に暮れているわ。特に母親の落胆ぶりはひどく、誰もが動揺している。みんなが不安で、夜も眠れないでいるのよ」と語り肩を落とした。
なお南オーストラリア州警察の警部ジーン・ヴァニネッティ氏(Gene Vaninetti)は、事故当時のメフディさんについて「彼は大波に背後から打たれ、水中でもがいている様子だった。そしてそのまま海に沈み、消えてしまったんだ」と語った。メフディさんは泳ぎができず、岩場には危険を知らせる看板があったものの、警告を読んでいたか、または理解していたかは不明だそうで、このニュースには次のような声が寄せられている。
「家族のためにも奇跡が起きるといいね。」
「なんて悲しい事故なのだろう。心が痛む。」
「もう捜索は止めるべき。あの場所は流れが強く、危険な場所だから生きていることはないだろう。」
「区切りをつけるためにも、遺体が見つかることを祈る。」
「悲しいけれど、これは愚かなことをした結果。危険な場所でのセルフィや写真撮影は止めるべき。これを教訓にして欲しい。」
ちなみに昨夏には、インドの海岸の岩場で写真や動画撮影をしていた夫婦が波にのまれた。夫は助かったものの、妻は事故から約20時間後、遺体で発見されていた。
画像は『7NEWS「Adelaide teenager feared drowned at Granite Island was on Father’s Day picnic」(7NEWS)』より
(TechinsightJapan編集部 A.C.)
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