いわゆる「働くクルマ」のひとつであるゴミ収集車ですが、実は一般的な読み方のほかに国土交通省が使う正式名称と、業界で使う呼称のふたつが存在しています。
なんて読むのか漢字の正式名称
街の機能を守り、清潔を維持するのになくてはならないクルマとして「ゴミ収集車」があります。いわゆる「働くクルマ」のひとつですが、実は「ゴミ収集車」というのは正式名称ではありません。
国土交通省では、ゴミの回収するクルマの名称を「塵芥(じんかい)車」と呼称しています。特種用途自動車の一種として定めており、塵芥(ゴミ)を収納する塵芥車の条件について「物品積載設備(荷箱)を有し、かつ、運転者や客席と隔壁により区分されていること」さらに、「適切な投入口と荷箱に送り込む機能や塵芥を排出するための機構を有するもの」と規定しています。
現在のような形の塵芥車が誕生した背景には、1954(昭和29)年の「清掃法」や、1963(昭和38)年の「生活環境施設整備緊急措置法」の制定があります。戦前や戦後直後の日本では、東京などの大都市であっても、ゴミはほぼ生ゴミでしたので、ゴミの回収は人が荷車を使えば十分でした。
しかし、経済が発展していき、人力ではカバーできないまでにゴミの量や種類が増えていくと、焼却場や埋立処分場に運搬するため、荷車からトラックに積み替える際のゴミの飛散といった問題が表面化し、清掃行政が整備されていきました。
その過程で完全自動車化も推進されました。より大量に迅速なゴミ回収を行えるようにと、東京都内では1958(昭和33)年ごろにはすでに、密閉式で自動排出装置を備えた、現在のものと同様の車両が使われていました。
業界の呼称は違う!
「塵芥車」のほかにも呼び名があります。ゴミ収集などの清掃業に携わる人は、大型の粗大ごみなどに使う荷台が密閉されていない清掃ダンプをのぞく車両を「パッカー車」と呼んでいます。
なお、塵芥車(パッカー車)は、既存の車両を改造して使用しますが、ベース車には2~3トンクラスの小型トラックや、4トンクラス中型トラックが使われるようです。
使用する地方自治体や清掃会社によって細かい仕様の違いなどはあるものの、主に「回転式」と「プレス式」の2種類に分けられます。収集したゴミをどのように圧縮するかが違っています。
回転式は、作業員が投入口に入れたゴミを回転板が荷箱へかき込み、押し込み板で奥に詰めていく仕組みで、汚水の飛び散りや戻りを少なくできるため、家庭ゴミの収集に適しています。
一方、プレス式は投入口内にある圧縮板とスライド板を使ってゴミをギュッと圧縮したあと、荷箱へ詰める仕組みです。ゴミを圧縮するため、小さなゴミから粗大ゴミの収集まで幅広く対応できます。
今までの塵芥車は回転板の油圧をエンジンの力を使って制御していましたが、モーターで制御するハイブリッド駆動システムなどもあります。これは燃料節約、排ガス抑制のほか、地下収集所などの密閉空間での作業性や健康面といったメリットもうたわれています。また、動力そのものを電力にしたEVタイプの塵芥車も、一部で使われ始めています。
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