2024年7月、プライベートでも親交が深いかまいたちの濱家隆一と見取り図のリリーによる新しいYouTubeが始まった。その名も「はまリリ酒呑みチャンネル」。その名の通り「2人が居酒屋でただ楽しく呑み、食べる」というコンセプトだ。誰からも愛される濱家の先輩力と、“かわいいの塊”と称されるリリーの後輩力を味わえる。見取り図、かまいたちの両ファンにとっては最高としか言いようがないチャンネルだ。
記念すべき第1回目の収録で訪れたのは中目黒にある『魚の店 オカモ倶楽部』。リーズナブルな価格帯で旬の刺身、寿司、お出汁料理などの魚料理が楽しめる大衆居酒屋。雑踏が心地良い、親しみやすさ抜群の店。どこにあるのか分からない高級店ではなく、一般人でも気軽に足を運べる店をチョイスしてくれるのは本当にありがたい。「はまリリ酒呑みチャンネル」を見て感じた魅力は、店の良さをしっかりと伝えているところだった。
濱家「問題なのが、まじで普段よう行く店をYouTubeでやった場合、そこが人気になって入られへんなる可能性もあんねん。ただでも、そこをちゃんと紹介していけへんチャンネルもどやねんちゅう話やんな」と動画内で語っていたように、ただ雑に食べ呑みをするだけでなく、出された料理や酒に対して的確なリアクションをしてくれるので、絶妙に胃袋を刺激してくるのだ。
これは自然とやっていることなのかもしれないが、とんでもない数のロケに行き食レポをこなしてきた2人が為せる技だ。だからこそ、視聴者は見るだけでなく、実際に2人が行った店を訪れたくなるのだろう。
美味しそうな料理に舌鼓を打ちながら、初っ端から互いの“痛風”事情を赤裸々に語る2人。かと思えば、店の料理人が和牛の水田信二に異常に似ていることを突っ込んだり(毎日言われる、しかも偶然にも通っている美容室が一緒らしい) と、本当に良い意味で肩の力が抜けた居“酒屋で呑んでいるおじさん”のトークが展開される。かと思えば、『M-1グランプリ2019』でかまいたちと見取り図の両組がファイナリストに進出した際の熱いエピソードが飛び出すなど、まるで本当に2人と一緒に呑みに行っているかのような錯覚に陥ってしまう。
なかでもとくに印象的だったのが、濱家が注文したエビフライを持ちながら「俺、若手時代ロケでインサート(料理だけを撮るカット)やりすぎて、いっこも手震えへんようなってん」という狂人エピソードを披露した後に
濱家「インサートのときだけ、あとは震えんねんけど。お酒切れたときは震える」
濱家「やばいよな?」
リリー「あ、自覚はあったん?」
というちょっとしたくだりがあったのだが、スピード、間、タイミング、まさに“阿吽の呼吸”と言わんばかりのコンビネーションだった。前述したように「居酒屋で呑んでいるおじさん」のなかに、なぜ彼らが一線で活躍し続けられるのか、その理由の一端を覗くことができた。
また、冒頭で述べた濱家の先輩力とリリーの後輩力も存分に発揮されており、濱家はリリーに対してはもちろんなのだが、動画を撮影をしているスタッフに対しても、(食べ盛りの若い子に対して)「白飯とかいらんの?」と兄貴肌な一面を見せており、筆者も思わず画面に向かって「一生ついていきます兄貴」とつぶやいてしまった。対して、リリーは濱家が食べ物に手を付けるまで絶対に手を付けない、邪魔にならないように皿を動かす、など細かい心配りが完璧だ。こうして文章にすれば当たり前のことのように思えるが、これをなんの嫌味もなく自然と実行できる人間は実は多くない。本人たちだけでなく、登録者が見ていっさい不快な気持ちにならないチャンネルはそうないだろう。
気持ちの良い2人の気持ちの良いやりとりをいつまでも見ていたい、そう思ってしまうほど心から安心できるチャンネルだった。
(文=かんそう)
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