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73rdエディションは攻めのインパクト

世界最高峰のクラシックカーコンクールデレガンスたる、「ペブルビーチ・コンクールデレガンス」(以下ペブルビーチ)。2024年の73rdエディションはまさに「攻め」の大きなインパクトがあった。

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世界16ヵ国から参加した214台の中からベストオブショーを獲得したのは、1934年ブガッティ・タイプ59であった。最初のタイプ59であり、ワークスカーとしてグランプリ優勝など輝かしい戦歴を持ち、当時のリヴァリーのまま維持されている。つまり当時のまま手が加えられることのない、「プリザベーションクラス」に出展されたモデルであった。

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ベストオブショーを獲得した、1934年ブガッティ・タイプ59。    越湖信一

レストレーション技術の評価という大きな大義名分のあるクラシックカーコンクールデレガンスにおいて、レストアを否定したプリザベーションの個体が、ベストオブショーを取るということに対して、審査の中でも様々な意見が交わされたという。

なにはともあれ、この世界最大のベンチマークであるペブルビーチの決断に、大きな注目が集まった。

そして、さらに大きいインパクトは、「ウェッジシェイプコンセプトカー&プロトタイプクラス」という特別カテゴリーが設けられたということだ。

ウェッジシェイプとはくさび形の直線的フォルムのことを意味し、ランチアストラトスHFゼロや、ランボルギーニカウンタックなどが代表例だ。

今まで、メーカーやコーチビルダー(カロッツェリア)、はたまた、ある特定の時期に焦点を当てた特集は存在したが、ウェッジシェイプというかなり漠然として幅広いコンセプトを包括するようなものは、初めてのことだろう。

ウェッジシェイプに対する解釈は?

ペブルビーチ選考委員によれば、ウェッジシェイプに対する解釈は「1950年代のいくつかのプロトタイプにくさび形デザインのフォルムが誕生し、1960年代から1980 年代に至るコンセプトカーにおいて大きなトレンドとなった。

注目すべき事例はギア・ストリームラインXから始まり、アルファロメオ・カラボ、フェラーリ・モデューロ……」とある。

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ストラトスHFゼロのオーナーでコレクターのフィリップ氏(左)と奥山清行氏。    越湖信一

ちなみにそのカラボやストラトスHFゼロ、カウンタックのデザイナーであるマルチェッロ・ガンディーニが本年3月に死去したことと、このカテゴリー誕生とは関係がない。昨年より既にこの企画は進んでいたからだ。

しかしクラシックカーコンクールデレガンスとしてこの比較的新しいデザイントレンドを今大会のメインとしてフィーチャーする(それも時代別に2カテゴリーも)というのは、繰り返し言うが、かなりの「攻め」ではないか。

さて、会場には選考委員会のコメントにもあった、1955年ギア・ストリームラインXクーペジルダを皮切りに1970年フェラーリ・モデューロ、1970年ランチアストラトスHFゼロ、1970年メルセデスC111、1973年アウディ・アッソ・ディ・ピッケ、1975年ランボルギーニカウンタック1976年フェラーリレインボ-などが、前半カテゴリーに並んだ。

まさに時代を超えた美しさがそこにあり、全く古さを感じさせないところは、まさに感動ものだ。スタイリング面のみならず、エンジニアリング的にも興味深いものを見ることができる。

ギア・ストリームラインはガスタービンエンジンC111はロータリーエンジン(4ローター!)と、パワートレインだけを取ってみても多様性を見ることができる。

幻の1984年ホンダHR-Xも登場

後半のカテゴリーでは1979年アストンマーティン・ブルドック、1988年ゼータV16T、1993年ベクターW8に加えて、日本からの出展となる、ケン・オクヤマ・カーズの2017年コード0が選考されている。

このモデルは未だカタログに載っているいわば現行車種であり、ペブルビーチにおける審査対象モデルとして最も新しい1台だ。

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1984年のコンセプト、ホンダHP-X。NSXに向けた提案だったとされる。    越湖信一

ちなみに審査対象モデルとしてペブルビーチに日本車として出展するのは、1968年トヨタ2000GTに継いで2台目になるという。

このモデルは奥山氏自身がストラトスHFゼロへのオマージュとして製作したものであるから、今回のペブルビーチにそのストラトスHFゼロと並んで展示されたことは、コード0にとって最高のシチュエーションと言えよう。

そしてもう1台、日本からのコンセプトカーが登場した。1984年ホンダHP-Xである。

当時、ホンダがピニンファリーナとデザインコンサルティング契約を結んでおり、市販車にそのアイデアが活かされることはなかったが、未来のNSXに向けての提案であったとされている。

モーターショーの展示以来、ずっと倉庫に眠っていた個体を今回の展示のためにピニンファリーナのワークショップにて徹底的にレストレーションが行われたという。現車もたいへん美しい仕上がりであった。

筆者とすれば、やはりジウジアーロのマセラティブーメランも一緒に並んで欲しかったところだが、これだけのモデルを集結させたペブルビーチのコミッティには大きな拍手を送りたい。

オフィシャルウェブサイトにもいろいろな資料がアップされているのでぜひ覗いてみて頂きたい。


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