強さのバランスはぶっ壊れているけど、ド派手な戦闘に脳汁が止まらなくなる。
それが、私が小学生の頃から20年以上愛し続けている格闘ゲーム『マーヴル バーサス カプコン ツー ニューエイジ オブ ヒーローズ』(以下、『マヴカプ2』)です。
永久コンボを搭載したトンデモ性能のキャラですら最強の座からは遠い。そんな“強さのバランスがぶっ壊れている世紀末ゲー” が『マヴカプ2』なのです。バランスをとろうという気が微塵も感じられません。
こんな言葉を聞くと、「そんなゲームのどこが面白いんだ!」と思われるかもしれません。しかし、本作はそのぶっ飛んだゲーム性と個性的なキャラクターの多さ、システムの奥深さなどから、稼働開始から四半世紀近く経過した今でもなおファンの多い作品。ガチ勢はもちろんのこと、エンジョイ勢からも愛され続けているのです。
そして、『マヴカプ2』を筆頭に、アメコミの大手Marvel社とゲーム会社の大手CAPCOMのクロスオーバータイトルたち7作品が収録されているゲームコレクション『Marvel vs. Capcom Fighting Collection: Arcade Classics』が、2024年9月12日に発売されました。
本コレクションの個人的な目玉はもちろん『マヴカプ2』。2000年というミレニアムな年にアーケードにて稼働が開始されたこのゲーム。後に家庭用も発売されており、家庭用含めて長いこと楽しく遊び続けていた身としては、気にならずにはいられません。
今回、20年以上愛し続けている『マヴカプ2』を改めてプレイしてみたのですが……このゲーム、演出がとにかくカッコいい!
この記事では、バランスがぶっ壊れているはずなのにハチャメチャに楽しい。『マヴカプ2』の唯一無二の魅力についてお話していきたいと思います。
『Marvel vs. Capcom Fighting Collection: Arcade Classics』My Nintendo Storeはこちら『Marvel vs. Capcom Fighting Collection: Arcade Classics』Steamはこちらぶっ飛んだ強さを誇るキャラたちの凶悪な技に脳汁が止まらない
本作における「強さのぶっ壊れ」具合を象徴しているのが「アイアンマン」。映画『アベンジャーズ』では、ヒーローの中心人物として描かれた彼の恐ろしいところは、他の格闘ゲームと比べて簡単な操作で永久コンボを繰り出すことができるということ。
その永久コンボのレシピは、立ち強キックを当てて敵を浮かせたら、後は決まったループの空中コンボをリズミカルに続けるだけ。永久コンボが滞りなく遂行されている間、コンボを食らっている側のプレイヤーにできることは、アイアンマンのミスを祈ることしかありません。
そして、祈りが届かなかったときに目にする光景は、画面いっぱいに表示された「K.O.」の文字。修羅の国、『マヴカプ2』で生き残るのは至難の業なのです。
そして、そんなトンデモ性能を持っているアイアンマンですら、ゲーム中では最強キャラではないばかりか、最強グループにすら漏れてしまうのが、本作の恐ろしいところ。
簡単に永久コンボができたとて、最強キャラとして名を連ねることは許されない。それが『マヴカプ2』なのです。
ちなみに、そんな世紀末の世界で最上位の強さを誇るのは、
どんな状況からも永久コンボや相手を即死にもっていける磁界王「マグニートー」
とんでもない機動力と攻撃性能で他を圧倒する「ストーム」
格ゲーにおいて重要な攻撃力・防御力・リーチの性能が全て高く「強い!固い!長い!」の三拍子が見事にそろった「センチネル」
遠距離からぶっ飛び性能のゲージ技を駆使し戦う「ケーブル」
この4人。
これらのキャラクターたちの存在により、現在でも盛んに行われているガチ勢同士の対戦はもはや異次元。永久コンボに即死コンボ、煌びやかな必殺技……。頭の悪さすら感じる凶悪な技の応酬には、もはや美しさを感じます。
格ゲーは大好きなのに、絶望的にスキルが追いついていない私からすると、ド派手にぶっ壊れた彼らの対戦画面を見ているだけで、脳汁が止まりません。合法的トビ方ノススメ。
心奪われるド派手な演出。奥深いシステム。『マヴカプ2』でしか味わえないバトルがある
他の格闘ゲームではあまり見られない『マヴカプ2』の特徴が、お互いに3人組のチームを作って3vs3で闘う対戦システム。もちろんそういったゲームが他に無いということではありませんが、当時、このシステムはかなり目を引くものがありました。
ただ、「3人チームで闘う」とひと口に言っても、チーム全員が常に闘い続けているわけではありません。対戦中にプレイヤーが操作するのは1キャラだけ。
この1キャラは好きなタイミングで控えキャラクターと交代することができる上、ボタンひとつで控えキャラクターにアシスト攻撃を繰り出させることもできます。これらによって戦局が大きく変わるのも、本作の面白いポイントです。
そして、アシスト攻撃は各キャラクターに3つずつ用意されているため、その組み合わせは無限大! ……なのですが、問題なのは、先ほどもお話した通り、本作はキャラクターの強さのバランスがぶっ壊れているということ。
「本体性能もアシスト性能も異常」「本体性能は凄いけど、アシストはちょっと」「アシストはすごいけど、本体性能には疑問が残る」キャラたちが入り乱れて、決してタイマンでは味わえないカオスな体験が待っています。
とんでもないキャラクター性能で押し切る王道プレイヤーもいれば、キャラ単体で見るとどう考えても闘えるはずがないのに、チーム全体で見るとなぜか闘えていて、しかも強いという不思議なプレイヤーもいたりします。3人チームでの対戦であるからこそ生まれる奥深さが、本作の魅力と言っていいでしょう。
ちなみに、私が初めてプレイしたのは小学生のころ。当時は「MARVEL」はもちろんのこと、「CAPCOM」のキャラクターの知識もほぼほぼゼロの状態。本作に登場する56キャラ中、スパイダーマンとロックマンの2キャラくらいしか知っているキャラクターがいませんでした。
そんなゲーム知識もアメコミも知識も乏しかった私が、「このゲームやりたい!」と思い、手の中に握りしめたお小遣いの100円玉を筐体の中に投入したのは、そのカッコよさに強く惹かれたから。
ここが私が『マヴカプ2』を奥深くしている大切な要素のひとつなんですが、このゲームはとにかく演出がカッコいい! 格ゲーを全く触ったことがなかった私ですが、誰かがプレイしている時に繰り出したド派手な必殺技をひと目見ただけで、一気に心を奪われてしまいました。
また、これは後々になってから獲得した視点ですが、アメコミ出身の超人たちに立ち向かうために普段とは全然違うド派手な必殺技を引っ提げて登場するストリートファイター勢が、メチャクチャ良いんですよね。
たとえば、下の画像のリュウの真空波動拳。本来、『ストリートファイター』では、あんなに極太なビームは出てきません。この真空波動拳を見てから本家を見た時、小さく感じてしまったのはここだけの話。
そして、本作のド派手演出の最たるものが、チーム全員で同時にゲージ技を繰り出す “ヴァリアブルコンビネーション”!
この技の発動のためにはそれ相応の準備(人数分のゲージ)が必要になりますが、上手く決まればド派手なゲージ技3種をお見舞いすることができる欲張りセット。ガードされなきゃ最高ですけど、ガードされても何故か気持ちがいい、そんな必殺技です。相手の最後の1体をこれで倒せた時の高揚感、エゲつないです。
王道からマイナーまで、登場キャラクターは56人!
『マヴカプ2』の特徴として、登場する56人ものキャラクターたちが、とても個性豊かであるということが挙げられます。
今でこそ、本作よりも登場キャラクター数の多いゲームも普通にあるかとは思いますが、稼働当時、これほどのキャラを使うことができるゲームはそうそう無かったと記憶しています。
王道キャラクターが出てくるのは当然のこととして、そこにマイナーキャラが加わり、キャラクターの見た目はほぼ同じで性能が少し違うコンパチキャラも添えられていて、多彩な輝きを放っているのです。
そういったキャラクターたちの中でもインパクトが強いのは、格闘ゲーム向きとは思えないネタキャラ。とくに、『ロックマン』シリーズに登場するお手伝いロボットの女の子のロールちゃん、『ロックマンDASH』シリーズに登場する小さなロボットのコブンは衝撃的でした。
初めてこのゲームで遊んだ当時、彼女たちのことは名前すら分からない状態でしたが、アメコミに登場する超人たちの中で健気に闘う姿はどこからどう考えても異質そのもの。幼心に、「このゲーム、変なキャラが多くてすごい !楽しい!」と感じたものです。
さらに、『マヴカプ2』が恐ろしいのは本作のために作られたオリジナルキャラクターが3人も参戦していること。その3人というのが、ルビィ・ハート、ソンソン、アミンゴ。
まぁ、ソンソンはシューティングゲーム『ソンソン』の主人公ソンソンの孫娘という設定なので、完全オリジナルキャラとは言い難い部分もあります。ですが、女海賊のルビィ・ハートと人植物のアミンゴは、紛れもなくオリジナルキャラです。
正直、ゲームを始めてから長いこと彼女たちを『マヴカプ2』のオリキャラだとは露ほども思っていませんでした。その理由のひとつが “デザインが良すぎる” ということ。
そのデザインはキャラクターとしてかなり完成されているように見え、何かしらの元ネタになったゲームがあるはずだと信じて疑っていなかったのです。
しかし、かなりの時が経ってから知ったのは、彼女たちは『マヴカプ2』のオリジナルキャラであり、彼女たちこそが本作の主人公トリオであるという真逆の事実。これには本当に驚きました。
BGMもとにかくカッコいい
そして、『マヴカプ2』のカッコよさを語る上で外せないのが、作中のBGM。本作のBGMはどの曲もノリノリでジャジーでオシャレ。中にはボーカルが付いたものもあり、20年以上経った今聞いてもカッコいいと感じる名曲の宝庫。この曲を聴きたいがために、わざわざプレイしていた時期もあるほどです。
そんな神曲たちの中で私が一番好きなのは、キャラクターセレクトの時に流れているBGM。女性ボーカルが同じフレーズを繰り返している後ろでビッグバンドがノリノリで楽器を奏でているだけの非常にシンプルな曲構成なんですが、個人的には、この曲が格ゲーのキャラクターセレクトBGM史上でナンバーワン。その魅力は未だに色褪せることはありません。
そんな感じで、完全にガワだけを見て『マヴカプ2』で遊び始めてしまったため、本作が “強さのバランスがぶっ壊れている世紀末ゲー” であるということは一切知らずに家庭用をプレイしていました。そのため、本作は私の中で、妹や友人と遊ぶパーティーゲームという位置づけだったりします。
所狭しと暴れまわるキャラクターに、簡単に即死へ追い込む永久コンボ。格闘ゲームとしてぶっ飛んでいる本作ですが、そのド派手な戦闘でしか得られない楽しさが確かにあります。強さのバランスについても、高みを目指さずに仲の良い友人同士で楽しむだけなら関係ナシ。
空中でコンボがなんとなくつながっていて、とりあえずアシスト攻撃が出せていて、派手なゲージ必殺技が出せていたらそれだけで楽しく、あっという間に時間が過ぎ去っていきました。
「何その遊び方?」と思われる方もいらっしゃるかとは思いますが、こういう『マヴカプ2』の愛し方もあると思うのです。こういった楽しみ方を許容してくれる懐の深さ、ゲームシステムの奥深さが『マヴカプ2』にはあり、私は『マヴカプ2』のそんなところが大好きでたまらないのです。
そんな『マヴカプ2』が収録されている『Marvel vs. Capcom Fighting Collection: Arcade Classics』は、ダウンロード版が2024年9月12日より発売中。対応ハードはNintendo Switch、PS4、PC(Steam Steam)となっています。
パッケージ版は2024年11月22日、Xbox Oneでは2025年発売予定です。『マヴカプ2』をはじめ、懐かしいタイトルが収録されているので、チェックしてみてはいかがでしょうか。
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