この記事をまとめると
■スケールモデルの収集を趣味とするクルマ好きは多い
■「アマルガムコレクション」はプレミアムスケールモデルの最高峰ブランドだ
1985年に設立されたプレミアムミニチュアカーの専門メーカー
カーマニアの間でも、ポピュラーな趣味のひとつといえるのは、ミニチュアカー、いわゆるスケールモデルの収集だろう。自分の乗っているクルマのスケールモデルに始まり、フェラーリに代表される夢のブランドや、いまでは手に入れることも難しいクラシックカーの数々。
あるいはレーシングカーなど、そのコレクションの方向性は人さまざまだが、それを眺めているだけで何となく幸せな気分になれたり、あるいは改めて当時の時代考証をしてみたりと、スケールモデルには確かにさまざまな魅力がある。
かくいう筆者も、このミニチュアカーの世界にはまって、すでに40年以上。コレクションは日本の住宅事情という避けられない問題もあって43分の1スケールが主流だが、この小さなサイズのなかでいかに精巧に、そして独特な世界観が演出されているのかを知り、コレクションは驚く勢いで増えていった。
ヴィンチェンツォ・ボシカ、その師匠ともいえるカルロ・ブリアンツァ、あるいはアンドレ・マリー・ルフといった天才的なビルダー(原型師)による作や、そのキットを追い求め、はたしてどれだけのお金を費やしたことか。もちろん後悔など微塵もないのは当然である。
けれども、それでも手が出ないブランドがあるのが、ミニチュアカーの世界。その象徴的な存在といえるのが、ここで紹介するイギリスの「アマルガムコレクション」で、彼らは1985年に設立されたプレミアムミニチュアカーの専門メーカー。
そのラインアップのメインに置かれているのは8分の1サイズのビッグモデルで、前で紹介した原型師が自分の直感をもとにデフォルメを加えながら、実車そのものともいうべき造形を作り出していたのに対して(ミニチュアカーは上から見下ろすことがほとんどなので、小さなスケールではデータどおりにスケールダウンするとバランス感が狂ってしまうことも多いという)、アマルガムはメーカーから提供された実車のCADデータをもとに、実車とほぼ同じボディラインやエンジン、インテリアの造形などを再現しているのが特長なのだ。
その精密さはまさにビッグスケールモデルの醍醐味ともいえるべきもの。さらに、リクエストによってはインテリアのフィニッシュやボディカラーなど、カスタマーが実際に所有するモデルとまったく同じ仕様でそれを製作することも可能だ。
ハンドメイドの限定生産でプレミアム性も爆上がり
実際の製作は、これも熟練した職人による完全なるハンドメイド。かつて43分の1サイズのポルシェ356Aで、水平対向4気筒エンジンを実働させることに成功したボシカの作にも驚愕したが、アマルガムのそれは別の意味で言葉を失うクオリティの高さである。
さらに、同社の作品はそのほとんどが限定生産。同社の象徴的な作ともいえるフェラーリ250GTOなどは比較的その生産台数も多いが、それでも世界中のリッチなフェラーリスタは、常にその売り物が現れないかを虎視眈々と狙っている。その希少価値もまた、高額な価格に反映されることになるのだ。
このように精巧でかつ高品質なビッグスケールモデルを製作するアマルガムは、自動車メーカーのオフィシャルサプライヤーとしての役割も担っている。
その代表的なコラボレーションの例はやはりフェラーリで、一例をあげるのならば、同社はローマのオプションにアマルガム製のスケールモデルを設定したほど。その関係は友好的であり、そして密接なものであることが証明されている。
注目のアマルガム製スケールモデルの価格は、平均して約400万円。近年ではより購入しやすい18分の1サイズの製品ラインアップも充実してきたが、それでも数10万円はするという高価格商品だ。
これなら何かのクルマを買ったほうがよさそうだという声も聞こえそうだが、スケールモデルにはまったスーパーリッチには、このアマルガムも欠かすことのできないブランドといえるのかもしれない。
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