日本時間11日午前10時、アメリカ大統領選の激戦州でもあるペンシルバニア州フィラデルフィアで、民主党カマラ・ハリス副大統領(59)と共和党のトランプ前大統領(78)による初めてのテレビ討論会が、90分に渡って行われた。
「テレビ討論会の前から相手側発言中のマイクについて、不規則発言が視聴者に伝わりやすいようにハリス陣営は“常時オン”を求め、失言を拾われたくないトランプ陣営は“相手の発言中はオフ”を要求するといった激しい駆け引きがありました。ディベートが得意なハリスですが、討論会で政策論争になればトランプが優位に立つという見方もあり、労働者階級出身のハリスは“セルフ・メイド・パーソン”(立志伝中の人)という自らの人間性を強調したほうがポイントを稼げると見ている人もいます」
そう語るのは、在米ジャーナリストの飯塚真紀子さん。バイデン大統領の選挙戦からの撤退により、突如スポットが当たったハリスについてこう続ける。
「カリフォルニア州出身で、両親はジャマイカ人とインド人の移民で、幼いハリスはベビーカーに乗せられて黒人に対する人種差別の撤廃を求める公民権運動のデモ行進に参加していたそうです。社会正義について議論する家庭で育ち、幼いころにハリスがぐずったときに母親が“何が欲しいの?”と聞くと『フリーダム!(自由!)』と大きな声で答えたというエピソードが知られています」
■遊説先のスタイルは厚底のコンバース
カリフォルニア州司法長官も黒人、女性、アジア系で初。副大統領も有色人種で女性は初。大統領に登り詰めれば、女性だけでなくアジア系としても史上初になる。
遊説先でのスタイルはスーツやスキニージーンズにコンバースが基本スタイルのハリスは、女性政治家のドレスコードにも新風を吹き込んできたという。
テレビ討論会ではハリス副大統領に目をわせないトランプ氏とは対象に、終始笑みを見せ余裕すらあるように見えたハリス副大統領。
その耳元に見える真珠のイヤリングが目に止まる。
「勝負アクセサリーは真珠のネックレスです。ハリスが少女だったころ、母の恩師から日本旅行の土産に真珠のネックレスをもらって以来、真珠がいちばん好きな宝石になったようです。
大学時代にメンバーだった学生クラブでは、毎週金曜日に目いっぱいのオシャレをしてワシントンDCにあるナショナルモール(国立公園)に出かけていたそうですが、その学生クラブはのちに『20粒のパール』と呼ばれています。
2021年の副大統領就任時には、市民がお祝いするため『みんなで真珠をつけよう』という草の根運動も展開。
ハリスにとって真珠はアイコンだけでなく、少女時代から今に至るまで、約50年くらいでしょうか、お守りに近い存在なのかもしれません」(大手新聞記者)
独身を貫いていたが、2014年、49歳のときに、敏腕弁護士のダグラス・エムホフ氏と結婚。
「プロポーズをされたときは、涙でマスカラが剥がれて顔が真っ黒になったと自著で語っています。エムホフ氏は法律事務所を退職して彼女のサポートに徹しています」(前出・大手新聞記者)
そんなハリスには不安要素はないのだろうか?
『アメリカの罠 トランプ2.0の衝撃』(文春新書)の編著者である国際ジャーナリストの大野和基さんが語る。
「環境や移民問題、経済対策など最近の発言が過去の意見と異なるため“フリップ・フロッパー(日和見主義者)との批判も。
左派であることを隠して選挙戦を戦っているという声もあり、大統領になったら共産主義的な政府が生まれるとウォールストリートジャーナルは社説で書いています。
トランプ陣営も『共産主義者』だとキャンペーンを強めてくるでしょう。
さらに検事になる前の30歳のときに、30歳年上でのちにサンフランシスコ市長になった男性と不倫関係になったことも。
ハリスは否定していますが、元市長は交際を認めています。
またハリスが副大統領になってすぐに側近が“エクソダス”(大量に離職)したことがあり『部下をいじめ、心を壊す上司』と新聞に見出しが躍った。そんな負の部分をトランプが個人攻撃してきたときに、ハリスがどう切り返すことができるかが勝敗の大きなカギを握るでしょう」
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