インドネシア南スマトラ州のゴム農園で8日早朝、妊娠5か月の女性がゾウの群れに襲われた。女性は腹部を激しく踏みつぶされ、胎児とともに死亡した。悲劇の事故をインドネシアのニュースメディア『BeritaRiau.com』などが伝えた。
8日午前6時頃、南スマトラ州ムシ・ラワス地区のゴム農園で、夫ラスムさん(Rasum)と一緒にゴムの樹液を採取していたカルシーニさん(Karsini、33)が15頭のゾウの群れに襲われた。
3児の母でもあるカルシーニさんは当時、空の燃料缶を2つ掴み、シンバルのように叩き合わせてゾウの群れを必死に追い払おうとした。
しかし、この大きな音がゾウたちを怖がらせたか、怒らせてしまったようで、群れは夫妻に向かって猛突進した。「世界自然保護基金(WWF)」によると、スマトラ島に生息するアジアゾウの亜種スマトラゾウは、大きな個体で体重が5トンにもなるそうで、群れはカルシーニさんとお腹の赤ちゃんを激しく踏みつけて死亡させた。
そしてゾウが去るのを待って、ムシ・ラワス地区の住民たちは遺体を農園の森の中から回収し、自宅まで運んだ。
ムアラ・ラキタン警察署長のAKP M・アブドゥル・カリム氏(AKP M Abdul Karim)は、今回の件についてこのように述べた。
「カルシーニさんは妊娠5か月で、腹部と腰部にひどい傷を負い、子宮が左側にずれていました。一方で彼女の夫は、危うく命拾いしたのです。」
「あの辺りは多くて100頭の野生のゾウの群れがやってくることで知られていて、事故後、天然資源保護庁の調査員が現場で調査を始めました。」
「ゾウの群れを見かけた時は、怖がらせたり追い払ったりしないでください。ゾウたちはただ、餌を探しているだけなのですから…。もしゾウを見かけたら、すぐにその場から立ち去ることが大切です。」
なお天然資源保護庁によると、農園がある場所はもともと、野生のゾウの群れの縄張りだったという。ただ、現在はゾウの通り道として使われているそうで、今回の事故には次のような声が寄せられた。
「ゾウの生息地を奪ったのは人間。」
「ゾウたちは食べ物を探していただけ。ゾウは悪くないよ。」
「ゾウたちはきっと、怖がっていたのでは?」
「私も大きな音が嫌い。ゾウの気持ちは分かる。」
「インドネシアでは先週、ゴム農園で女性が巨大ヘビに襲われたばかり。また男性がワニに食べられた話も聞いた。そして今度はゾウに襲われて妊婦が命を落とすなんて。」
「きっとお腹が重くて逃げ遅れたのだろうね。」
スマトラゾウは絶滅の危機に瀕しており、世界自然保護基金は個体数を2400~2800頭ほどと推測している。熱帯林の伐採、人間の活動、密猟による生息地の喪失が個体数減少の大きな原因で、「国際自然保護連合(IUCN)」もレッドリストの中で、スマトラゾウの危機ランクを最高位の「近絶滅亜種(CR)」にしている。
ちなみに今年3月にはザンビアのカフエ国立公園で、6人の観光客を乗せたサファリカーが体重5トンほどの雄ゾウに猛襲されて横転し、80歳のアメリカ人女性が亡くなった。カメラは襲撃の一部始終を捉えており、緊迫した当時の様子はSNSで拡散した。
画像は『The Sun 「TRAGIC END Pregnant woman, 33, & unborn baby crushed to death by 15 elephants as mum-to-be desperately tried to scare herd off」(Credit: ViralPress)』より
(TechinsightJapan編集部 A.C.)
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