先月21日、米オハイオ州の民家で火災が発生した。キッチンが黒焦げになるほどの被害をもたらした火災の原因となったのは、お腹を空かせた愛犬の行動だった。飼い主が仕事の間、留守番していた犬が食べ物を探してキッチンへやって来てコンロに火をつける様子を室内カメラが捉えていたのだ。まさか愛犬が火災の原因だと思っていなかった飼い主は、「カメラが無かったら信じられなかった」と話している。米ニュースメディア『Cleveland 19 News』などが被害状況などを伝えた。

火災は先月21日、米オハイオ州ブルック・パークに住むクリス・デルジオさん(Chris DiLuzio)の自宅で発生した。当時、職場にいたクリスさんは消防署から「あなたの自宅で火事がありました」と電話を受けた。

クリスさんは、「『犬を1匹見つけました』と言われたんです。それを聞いて、息子や姪、義母が家にいたかもしれないと頭をよぎりました」と、連絡を受けた当時を振り返る。

幸いにも、自宅には誰もいなかったことが分かり一安心だったが、いったいどうやって火事が起きたのか疑問が残る。その答えを、室内に設置していたカメラが捉えていた。

当時の様子を撮影した映像にはキッチン全体が映っており、2匹のフレンチ・ブルドッグの愛犬の姿があった。中央に白い犬が、そして左上のコンロのそばに黒い体毛を持つ“ハーヴィー(Harvey)”がいる。椅子に乗っていたハーヴィーは、コンロのふちに前足を置き、コンロの上にあるおやつを取ろうとしていた。ところが、突然「チチチッ」と音がし始め、近くにいたもう1匹の犬が驚いて顔を上げた。

この音はコンロのスイッチが入った音で、ハーヴィーが偶然にもコンロのつまみの部分に前足を置いてしまい、つまみを回して火をつけてしまったのだ。しばらくすると、コンロに赤い火が見え、室内に煙が充満し始めた。火災報知器が鳴り始めた頃には、キッチンの一画が燃え上がった炎で赤く染まっており、ここで動画は終わった。

消火後の写真を見ると、コンロのそばの壁紙や天井が真っ黒に燃え、床には瓦礫が散乱している悲惨な状況が写っていた。電話では「犬を1匹見つけた」と言われていたが、最終的に2匹とも無事に見つかった。

「もし動画が無かったら、とても信じられないですよ」と、愛犬が火災の原因だったことにクリスさんは驚きを隠せない様子だ。それでも「太っていて、お腹を空かせているハーヴィーらしい行動ですよ」と、ハーヴィーならやりかねないとクリスさんは話した。

消火後の写真の通り、キッチンはとても使えない状態になってしまい、家を修繕する間、クリスさんは6人の子ども達と妻を連れて数か月ほどホテルで過ごさなければならなくなった。クラウドファンディング・プラットフォーム「GoFundMe」で専用ページが立ち上げられ、滞在費用や修繕費、子ども達の学校用品などを買い直すための費用の募金が行われた。1万ドルの目標額に対し、今月12日の時点で8割以上の金額が集まっている。

犬がコンロに火をつける瞬間を捉えた動画を見た人々からは、「犬が2匹とも無事でよかった」「うちの近所でもまったく同じことが起きていたな」「こういうことが起きるから、うちではコンロのつまみにチャイルドロックをかけているよ」などのコメントが寄せられた。

なお、犬が誤ってコンロに火をつけてしまうケースはこれまでにも発生しており、今年6月には米コロラド州の民家にて、飼い主が就寝中に、今回と同じく犬が前足でコンロを点火する様子を室内カメラが捉えていた。この民家も住める状態ではなくなってしまうほどの被害となっており、消防署は「可燃物をコンロやオーブンから遠ざけて」と注意喚起を行っていた。

画像は『Cleveland 19 News 「‘Fat and hungry’: Video shows dog setting fire to Brook Park family’s home」』より
(TechinsightJapan編集部 iruy)

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