仕事やプライベートで「なぜかうまくいく人」は、どんな言葉を使っているのか? 実は賢い人ほど、相手から期待通りのリアクションを引きだす「ズルくてうまい言いまわし」を日頃から駆使している。

どんな言葉を使えば物事がスムーズに進むのか? 様々なシチュエーションごとに「ダメな言い方」「うまい言い方」を解説した、ひろゆき氏の新刊『賢い人が自然とやっている ズルい言いまわし』から、テクニックの一部を紹介しよう。

◆言いづらい事実を伝えたいとき

仕事はアダルトサイトの運営をしているが、初対面の人から「お仕事は何を?」と聞かれると、いつも困ってしまう。正直に答えるとネガティブな感情を抱かれそうだし、かといって嘘をつくのも後でバレたら面倒くさい。こんな「ネガティブな事実」をどう伝えればいいのか?

◆相手が勝手に勘違いしてくれる言い方をすればいい

 以前、無職の人が化粧品売り場で「お仕事は何を?」と聞かれ、正直に「無職です」と答えたら怪訝な顔をされて嫌な気持ちになったと聞いたことがあります。どんな職業であっても接客に差をつけるなと思うのは理解できますが、世間では「無職」という立場への風当たりは弱くありません。

 客商売をしている人からしたら、相手が顧客になるのか判断したいので、「無職です」と聞いたら相手にするべきではない人だと判断する人もいます。バカ正直に「無職です」とか「働いてないです」とか言うと、ネガティブに捉えられてしまうのですね。

 しかし、ここで「働く必要がないんですよね」と返答したら相手はどう感じるか?「この人はお金持ちなのかも……」と勝手に勘違いして、ポジティブに受け止められる可能性もあります。答え方ひとつで印象が変わるといういい例ですね。資産がある人だろうと生活保護者だろうと、「働く必要がない」のは間違いのない事実ですし。

 要は相手が勝手に想像をして、「もしかしたら自分にメリットのある人かもしれない」と思わせる返答をすればいいわけです。

◆実際には無職みたいな生活をしていても…

 基本的に自信満々な人というのは余裕があるように見えるし、いい方向に誤解をされたりします。実際には無職みたいな生活をしていても、不動産を持っていたり投資で資産を築いていて、そもそも働く必要がない人は大勢います。そういう人たちが自分のことを「無職です」と言っているのを聞いたことがありません。

◆面倒ごとを避けるには…

 答え方ひとつで、面倒ごとを避けられることもあります。例えば、海外で僕のことを知らない人に「お仕事は何を?」と聞かれたら「エンジニアです」と言うようにしています。僕は英語圏ではそれなりに有名な「4chan」という匿名掲示板の運営・管理をしているので、正直に言ったら、「この人、ヤベえな」と思われたり、面倒くさいことになる可能性もあります。

 でも、エンジニアと言えば嘘ではないし、突っ込める人もほぼいない。同じようにエ○サイトの制作者も「エンジニアです」でいい。「サイトの制作です」とかぼかして言うと「どんなサイトですか?」とムダに突っこまれたりしますしね。

 ネガティブな情報であっても嘘をつかず、かつ悪くないイメージで伝えることはできます。相手に合わせて、どのレベルで伝えるかで、面倒くさい状況を避けることはできるのです。

◆言いづらい事実を伝えたいときは…

× サイトの制作です
システムエンジニアです

構成/杉原光徳(ミドルマン)

ひろゆき
西村博之(にしむらひろゆき1976年神奈川県生まれ。東京都・赤羽に移り住み、中央大学に進学後、在学中に米国・アーカンソー州に留学。1999年に開設した「2ちゃんねる」、2005年に就任した「ニコニコ動画」の元管理人。現在は英語圏最大の掲示板サイト「4chan」の管理人を務め、フランスに在住。たまに日本にいる。週刊SPA!で10年以上連載を担当。新刊『賢い人が自然とやっている ズルい言いまわし

―[賢い人が自然とやっているズルい言いまわし]―