過去5万本の記事より大反響だった話をピックアップ!(初公開2023年8月2日 記事は取材時の状況)
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オフィスでよく問題になるパワハラ。一般的には上司から部下に対しての常識を超えたハラスメントがほとんどです。しかし、オフィスにはモンスター社員という呼び名の厄介者も時折、見受けられます。
手のつけようがない有害な社員とでもいうのでしょうか。今回は、ちょっと変わったモンスター社員に振り回された上司のエピソードです。
◆期待の新人は帰国子女
広告代理店で人事部長を務める佐伯さん(仮名・48歳)は、毎年優秀な人材を集めるために四苦八苦していました。
「私たち人事はこの時期、すなわち就職活動が活発になる頃が一番忙しくなります。大企業ならともかく、ウチみたいな中小企業だと優秀な人材を確保するために、あの手この手で動かないといけないんです。でも、今年は広報に帰国子女の逸材が入社してきたんですよ」
その逸材は、女性社員の宮内さん(仮名・23歳)です。なにせ、大学時代は某大学のミスキャンパスに選ばれた美貌と、中高生をイギリスで過ごした国際的な感覚や語学力など、入社前から評判が高かったそうです。
「もちろん他にも優秀な新入社員は入ってきたのですが、面接の時から宮内さんはその受け答えや仕事のビジョンが抜きん出ていましたね」
◆直属の上司も太鼓判
宮内さんの直属の上司は、広報課長の柴田さん(仮名・34歳)。彼も大学時代にL.A.の大学でマーケティングを専攻した国際派です。
「柴田くんに宮内さんの第一印象を聞いてみたのですが、一言『合格!』と言っていました。顔合わせの時に、いきなりSNSを用いたBtoCの広報戦略について提案したそうです。従来の社員にはない日本人離れした積極姿勢を大変評価していましたね」
柴田課長は、前評判通りの彼女を高く評価し、自身の営業に帯同させるなど、宮内さんは幸先の良いスタートを切りました。
「柴田課長がわざわざ自分の営業に同行させたり、今年の新人は優秀だと言って回るくらいの人材だったみたいですが、不思議なことに、柴田課長以外からの評判はあまり聞かなかったんですよね……。柴田課長がひいきにしていたせいなのか、何なのか、まあ仕事が順調なら良かったんですけどね」
◆えっ?突然の退職届
ところが、ゴールデンウィークが終わり5月も末を迎えようとしていたある日、人事部の佐伯さんに1通の内容証明が届いたそうです。その差出人は広報課の宮内さんからでした。
「宮内さんの名前は良く覚えていたので、人事部に内容証明なんて何だろうと思いました。この時は、まさかあんなことになるとは思いもしませんでした」
その中身はなんと退職届で、それ自体を受け取ったことも驚いたそうですが、そこに書かれていたのは「私、宮内佳奈は、この度上司である柴田課長が退職することを知り、課長不在の職場では勤務する意味や目的が失われると判断した都合上、本日付で退職届を送付させていただきました」という内容でした。
「理解できなくて何度も読み返しましたよ…こんなのありえます? 結構長い間人事部で働いてますけど、こんな突飛な退職届見たことないですよ。上司が辞めるから? 目的が失われる? 何かの間違いかと思いました。しかも、入社してたった2か月ですよ!? もう、何が何だか……」
◆本当の退職理由
実は、最近柴田課長はヘッドハンティングされ、近々転職することになっていました。なんとなくそのことが鍵だということが判明してきた今回の退職劇。佐伯さんは、宮内さんと接点があった社員にヒアリングしたと言います。
「唯一仲が良かった、同じ大学出身の先輩社員が重たい口を開いてくれたんです。実は、インターンの時に指導役だったのが柴田課長で、宮内さんは一方的に恋に落ちてしまったそうなんです。だから、今回その課長が転職してしまうので、自分もその後を追う、という流れです」
呆れた顔で説明してくれた佐伯さん。もちろん柴田課長には奥さんもお子さんもいるとのこと。
「柴田くんは知っているんでしょうかね。なんかストーカーみたいになっていますよね。でも、人事部をまとめる私でさえも、そんな入社理由はなかなか見抜けないでしょうね。来年からはいつも以上に慎重にならざるを得ないと感じてます」
<TEXT/ベルクちゃん>
【ベルクちゃん】
愛犬ベルクちゃんと暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営
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