「家の前の道路に路上駐車されて困っています。どうにかできないでしょうか?」。このような相談が弁護士ドットコムに寄せられています。
相談者によれば、家の前には塾があり、毎日のように夕方頃になると家の前の道路は、子供を迎えに来た保護者によって路上駐車がされる状況が続いているとのことです。そのため車庫入れがしづらくなります。
しかし、家の前の道路は、路上駐車禁止区域であり、路上駐車を辞める旨を塾や保護者に伝えましたが、改善されませんでした。挙句、保護者に「何が気に食わないんだ塾の迎えだぞ!何分停めようが駐車でなく停車だ」と逆ギレされる始末です。
保護者の中には車を離れ、塾の敷地内で15分以上も談笑する人たちもいるそうです。相談者は警察にも通報し、塾にも抗議を伝え続けていますが、改善されないため対応に苦慮しています。
ネット上でも、このような相談は珍しくなく、中にはバリケードとなる障害物を置く人もいるようです。どのような対応が望ましいのか。鬼沢健士弁護士に聞きました。
●どのような法的問題がある?——路上駐車禁止区域で駐車した場合、どのような法的問題があるのでしょうか
駐車違反をした場合には、駐停車違反、放置駐車違反の2つに分けられます。
駐停車違反は、駐車してはいけない場所に駐車している時で、運転者が移動を命じられたときにすぐに移動ができる状態を指します。
放置駐車違反は、運転者が車を離れ直ちに運転できない状態を指します。自動車の近くにいたり、ハザードランプがついていても放置駐車にあたることがあります。
罰則はそれぞれ違い、普通車での駐停車違反(駐車禁止場所での駐車の場合)は、違反点数1点、反則金は1万円です。普通車での放置駐車違反(同上の場合)は、違反点数2点、反則金は1万5000円です。
●「駐車ではなく停車だ」と反撃されたが…——相談者は「何分停めようが駐車ではなく停車だ」と反撃されたそうです。車の中にいる限り何分であっても「停車」なのでしょうか
道路交通法2条18項で、「駐車」が定義されています。
運転手が乗っていても、継続的に停止していれば「駐車」にあたります。人の乗降であれば、「駐車」にはあたらないのですがこのケースでは人を待っていますので、乗り降りしておらず、やはり「駐車」にあたるでしょう。
——路上駐車を放置している塾側に対して、何らかの法的責任を問えないのでしょうか
駐車違反に問えるのは、あくまでも違反をした運転手のみです。塾が駐車違反を放置していたとしても、法的責任は問えません。
●バリケードを設置したらどうなる——相談者が路上駐車をよけるため、自宅前の路上に駐車させないためのバリケードを置くことは法的な問題があるのでしょうか
路上駐車を妨害する目的で道路にバリケードを置くことは法的に問題あります。道路交通法76条3項で、交通の妨害となるような物を置くことを禁止しています。
また、バリケードを置くことが道路を閉鎖し交通を妨害する結果となる場合には、刑法124条1項の往来妨害罪が成立し、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処される可能性があります。
【取材協力弁護士】
鬼沢 健士(おにざわ・たけし)弁護士
詐欺サイト(出会い系、支援金、サクラサイト)・副業詐欺被害救済、不当解雇問題、交通事故を取り扱う。積極的に着手金無料で受任している。
事務所名:じょうばん法律事務所
事務所URL:http://www.jobanlaw.com/
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