西暦800年~1050年まで、約250年の間、スカンジナビア、バルト海沿岸地域の武装集団「バイキング」たちは西ヨーロッパ沿海部を侵略した。バイキング時代だ。
だが全ての国のバイキングが同様に狂暴だったわけではないということが、新たな研究で明らかになった。
ノルウェーとデンマークの遺跡から発掘された遺骨の調査により、ノルウェーの方がより残忍で無法者だったことが判明したそうだ。
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ノルウェーとデンマークのバイキングの残忍性を比較
南フロリダ大学のデイビッド・ジェイコブソン氏やオスロ大学のジョン ・ビル氏ら国際研究チームは、バイキング(ヴァイキング)の暴力性を比較するべく、バイキングに殺害されたとされる遺骨を古い墓から掘り出した。
その結果、ノルウェーで発掘された骨には、デンマークのものよりも遥かに多くの外傷が見られた。
ノルウェーの遺骨の33%に古い外傷が見られ、37%がそうした暴力によって死に至っていることがわかった。
それに比べてデンマークでは暴力による死はわずか6%で、そのほとんどが処刑によるものだったようだ。
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発掘されたノルウェーの遺骨と共にたくさんの武器も見つかった。バイキング時代と後期鉄器時代にさかのぼる剣が3000本以上も出土しているが、デンマークの墓地からは、数十本しか出てこなかった。
これは、ノルウェーのバイキング社会では武器が遥かに重要な役割を果たしていたことを示しているといえよう。
ノルウェーとデンマークのバイキング社会の違い
研究チームは、回収された遺骨と武器の研究と古代スカンジナビア人が記録を残すのに使ったルーン文字が刻まれた石碑とを照らし合わせてみた。
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デンマークのコミュニティには、社会構造と権威ある人物が多く見受けられ、暴力は比較的抑えられていたと考えられる。処刑による死は暴力が罰としてふるわれたことを示している。
一方、ノルウェーの傷害率の高さは、それが個人同士の間で起こったことであることを示している。
デンマークのバイキングも大きな要塞を構えていたが、これは大規模な労働力、協調しながら行う仕事、組織化された社会を表している。
無法地帯だったノルウェー
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対照的にノルウェー社会は、中央ではなくそれぞれの勢力が各地に分散した社会で、支配者の目の届かない無法地帯があちこちにあった。
個人的な不平が積もり積もって、個人的な暴力へと発展していった。攻撃の残虐性に性差はなく、男の骨にも女の骨にも似たような外傷が残っていた。
研究著者のデイビッド・ジェイコブソン氏はこう書いている。
ノルウェー社会では、暴力をふるったのは男だけではなかったようだ。これはノルウェー社会が社会的な地位という点で男女平等だったことを示している
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バイキングでも地域によって異なる文化
この研究結果は、同じバイキングといっても地域によってかなり異なる文化をもっていたというだけでなく、権威と階級制度がより厳格な社会のほうが暴力レベルが低かったという考えを裏づけるという。
このことは北米と南米の文化の一部と共通するケースでもあったそうだ。
この研究は『ScienceDirect』誌(2024年9月)に掲載された。
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