この記事をまとめると
■「スメルハラスメント」はバスやタクシーでも気をつけるように指導されている
■いまでは信じられないが2008年まではタクシーの車内でタバコを吸うことができた
■車内でタバコを吸えなくなってからはタクシーといえども新車の香りが持続するようだ
においにも敏感になってきた
最近ネット上では「スメハラ(スメルハラスメント)」が話題となっている。スメハラとはどんなものなのか調べてみると、口臭や体臭だけではなく、香水など、とにかく他人に「におい」で不快感を与えてしまうことであるらしい。
本稿執筆時点では、全国的にハンパではない酷暑が続いている。それほど「汗っかき」だとか「暑がり」というわけでもない人でも、ひとたび外に出ればとたんに汗が噴き出すという日々が続いている。夏は男女を問わず体臭がより気になってしまう季節ともいえよう。
バスやタクシーといった旅客輸送業界では、原則として運転士については香水の使用をやめるように、そして整髪剤や制汗剤などについては無香のものを使うようにと指導されている。使う本人としては気に入っていて、「いい香り」と思っているのだろうが、とくに多様性が求められ、多様化の進む現代社会ではすべての人にそれを「いい香り」だと思ってもらうのは困難であり、利用客とのトラブルを誘発するとされているからである。
車内空間の狭いタクシーだが、いまでは信じられないが、都内であっても2008年までは車内でタバコを吸うことができた(2008年より完全禁煙化実施)。タバコの吸えたころに、乗客が車内でタバコを吸ったあとのタクシーに乗ったときは、筆者はタバコを吸わないこともあって、まさに気分は「スメハラ」を受けた状態になっていたが、たいていはそれほど長くない距離の移動だったので、ガマンしていたことをいまも覚えている。
タクシー運転士の勤務は、たとえば朝に車庫を出たら、翌日未明に車庫へ帰ってくる「隔日乗務」が一般的。長時間乗務を続けるので、個人差はあるものの、体臭というものがだんだん気になってくる。とはいっても、一般的な香るもので体臭を消そうとすれば、今度はその香りが車内に充満してしまい利用客がそれを「スメハラ」としてトラブルになってしまうこともあるので(体臭と合わさるとさらに厄介な臭いになることも)、無香のものを使うように指導されているのである(最近は微香性のものを使っている運転士もいる)。
少し前の話になるが、筆者の生活圏で女性運転士が運転する路線バスに乗ったことがある。筆者はあまり気にしていなかったのだが、乗り合わせた複数の高齢女性が「匂い(制汗剤?)がきつい」と運転士に聞こえる声でボヤいていた(その後、その女性運転士は関連性がわからないものの見かけなくなった)。
新車の香りがお気に入り
「『匂い』で『臭い』を消すのはダメ!」、バスやタクシー運転士さんの苦労も絶えないようである。もちろん車内に芳香剤(無香はOK?)を置くこともNGとされているようだ(微香性のものなどまったく置いていないわけでもないが)。
「クルマオタク」であり、「バス&タクシーオタク」でもあることを自称する筆者は、おろしたて(納車直後)のピカピカの新車のバスやタクシーに乗ったとき、車内に充満する新車の香りを嗅ぐと、それはまさに至福の時間となる。
しかし、かなり強い香水や制汗剤をつけた人や、ファーストフードなどでテイクアウトした「温かくて匂いのきつい」食べ物を車内にもち込んでくる人がいると、新車の香りがかき消されるので、筆者にとってこれはある意味スメハラを受けたといっていいだろう(もちろん、いってもわかってもらえないし、下手すれば警察にも通報されかねないので抗議する気はない)。
先日、乗り合わせたトヨタJPNタクシーに乗ると新車の匂いを強く感じたので、運転士さんに「新車ですか?」と聞くと、「よくいわれるのですが、もう1年経っていますので、この前車検も受けていますよ」と答えてくれた。「いまは車内でタバコを吸えないので、タクシーといえども新車の香りが持続するみたいです」とも話してくれた。
タクシーは事業者によっては「専任車両」として、決まった運転士しか乗ることのできない車両を設けるところがあり、新車の香りの持続はその専任運転士次第というところもあるようだ(どこまで手入れを入念に行うかということ)。
ちなみに、海外でよくレンタカーを借りるアメリカでは、空港営業所など広い営業所では一定駐車区域内に停まっているレンタカーから好きなクルマを任意選択できるので、筆者は新車の香りの残り具合も車両選択では重要視している。
その昔は、フランス車は甘く、ドイツ車は酸っぱいといった表現を用いて新車の香りを楽しんでいたこともある。お気に入りは個々で多少は異なるが、アメリカンブランド(GM、フォード、クライスラー)系の新車の香りである。
それが「匂い」なのか「臭い」なのかは人それぞれ異なってくる。ただ、筆者のように「新車の香り」を「いい香り」と理解してくれる人は少数派なので、これからもひっそりと楽しんでいきたいと考えている。
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