「世界一物価の高い国」として知られるシンガポールですが、日本でいうところの「スーパー銭湯」へ行ってみたところ約8800円でした。ただ、この国での過ごし方によっては、むしろ「コストパフォーマンス最強」の選択といえるかもしれません。
「ファンタ330円」「ごつ盛り430円」
「世界一物価の高い国」として知られているのが、シンガポールです。同国内にあるいわゆるスパ施設、日本でいうところの「スーパー銭湯」へ行ってみたところ、80シンガポールドル(約8800円。1ドル110円換算)でした。日本だと驚くべき値段です。しかし、シンガポールではむしろ「コストパフォーマンス最強」の選択といえるかもしれません。
アメリカの人事コンサルティング大手、マーサーが2024年に公開したデータによると、外国人労働者にとって最も物価が高い都市のひとつとして、シンガポールはスイス・チューリッヒ、香港とともにランクインしています。なお、これら3都市は同データ上では「物価の高い都市」のトップをキープし続けているとのことです。
たとえば「セブンイレブン」では、500ml相当サイズのペットボトルに入った水は最安でも2.6ドル(約287円)、「ファンタ」は3ドル(約330円)となっています。いわゆるシンガポール版「ドン・キホーテ」である「DON DON DONKI」でも、カップ焼きそば「ごつ盛り」が1つ3.9ドル(約430円)でした。さらに日本から輸入されるお酒の価格差は激しく、ストロング系缶チューハイ350mlは「セブンイレブン」では1缶あたり9.6ドル(1058円)、「DON DON DONKI」でも6.9ドル(約760円)と、かなり高額です。
筆者が「8800円スパ銭」を訪れた日、同国のチャンギ空港へ深夜に到着し、別の記事企画のため、そこから空港内で一夜を明かしました。結果的に一睡もできていないので、正直とてもキツい状態です。そういったこともあり、その日の夜に控えた別のフライトまでのあいだ、仮眠と作業をする場所を探すべく、デイユースプランに対応しているホテルを検索します。
しかし、いわゆる大型ホテルだと100ドル(1万1000円)を下回るケースはほぼありません。ちなみに、通常宿泊時のホテルも相場は1万5000円から3万円ほど。カプセルホテルも存在しますが、それでも8000円以上を要します。
「8800円のスパ銭」…高いけどホテル超えたかも!
そこで、ダメ元で「シンガポール スパ」と検索します。すると出てきたのが、マウントバトン駅の近くにある日本とほぼ同じスタイルの、とある温浴施設でした。外観は「本当に営業しているの?」といいたくなるほどの雰囲気でしたが、裏口から2階に上がると、しっかり営業中です。
館内はサウナ・水風呂・プール・仮眠室・レストラン&カフェなどが備わっています。なぜここを選んだかというと、8800円で24時間営業、そして最大24時間まで滞在できることに加え、追加料金なしでドリンク(アルコール類はなし)飲み放題、さらに食事も食べ放題だからです。
食事メニューはバイキング形式のほか、オーダー後に調理し始める通常メニューもあります。試しにココナッツライス「ナシレマ」とフライドチキンのプレートを頼んでみましたが、いわゆる「レンチンメニュー」とは一線を画す、レストランクオリティのものだったと記憶しています。
残った作業をレストランエリアの奥まったところでこなし、仮眠室へ向かいます。
室内は最初からかなり暗くなっており、リクライニングソファはフカフカ。毛布と枕もあります。空港で一夜を明かしたあとだと、まさに天国です。数時間ぐっすり寝てから、風呂に入りさっぱりし、再度空港へと向かいました。朝の絶望と疲労から一転、幸せな気分のあまり、施設を出るのが本当に惜しくなってしまったほどです。
通常の旅行やビジネス渡航であれば、ホテルなどをすでに手配していることが普通ですが、チャンギ空港では、ここを経由し、別の国へ乗り継ぐニーズも非常に高い空港です。場合によっては、シンガポールでの待機時間がかなり長くなるケースもあるでしょう。もちろん空港エリア・空港内にもホテルはありますが、8800円を軽く超える極めて高い料金か、もしくは安くても時間制限があったり、ドミトリータイプだったりすることが多いです。
確かに日本の「スパ銭」と比べるとびっくりするほど高額ですが、時間を気にせず過ごせるほか、ホカホカでおいしい現地の食事とキンキンのドリンクにいつでもありつけ、しかも入浴までできました。ホテル代としては、通常のシティホテルよりはるかにコスパが良かったと確信しています。後悔はまったくありません。
コメント