デジタル化が進む中で、情報を入手する経路が多様化してきました。専門職の弁護士は普段どのようなメディアに接しているのでしょうか。
弁護士ドットコムでは、会員弁護士に、新聞購読の有無やよく見るネットニュース、報道に対する意見などを尋ねるアンケートを実施し、254人から回答が寄せられました(実施時期:2024年8月4日-2024年8月8日)。アンケート結果を紹介します。
●新聞購読率は個人が39.0%、法人・団体17.7%月極めで購読している新聞(電子版を含む)の有無を尋ねたところ、「個人でしている」が33.9%、「事務所や勤務先でしている」が12.6%、「両方でしている」が5.1%となり、合わせると、個人が39.0%、法人・団体が17.7%となりました。
●弁護士の約4割が「日本経済新聞」を購読購読している新聞の種類について尋ねたところ、「日本経済新聞」が42.7%と最も高く、次いで「地方新聞・ブロック新聞」が30.5%、「朝日新聞」が29.8%などとなりました。
その他の回答には、「赤旗」「特定の業界向け新聞」などがありました。
所属弁護士会別に、東京三会(東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会)とその他エリアで分けたところ、東京三会は「日本経済新聞」、その他エリアは「地方新聞・ブロック新聞」の割合が最も高くなりました。
●弁護士が興味のあるニュースのジャンルは「社会」が8割超どのようなジャンルのニュースに興味があるかを尋ねたところ、「社会」が83.1%、「政治」が68.5%、「経済」が65.0%などとなりました。
●弁護士が見ているネットニュースは「Yahoo!ニュース」インターネットのニュースについて、接触する機会が多いものを最大3つまで尋ねたところ、「Yahoo!ニュース」が78.7%と最も多く、「新聞社やテレビ局のwebサイト」が44.5%、「SNS」が31.5%と続きました。
●世論形成で影響力のあるメディアは「テレビ」が約8割世論形成で大きく影響力があるメディアを尋ねたところ、「テレビ」が78.3%と約8割を占め最も高くなりました。次いで「X(旧Twitter)」が7.5%、「新聞」が4.7%と伝統的なメディアである「新聞」を「X(旧Twitter)」が上回りました。
この結果は近年、X(旧Twitter)の投稿がきっかけで、社会問題が認知されたり、国の決定に影響を及ぼすことが関係しているのかもしれません。ラジオという回答はありませんでした。
●マスメディアの中で比較すると、新聞の信頼度が高いつづいて、各メディア(*)に対する信頼について尋ねたところ、信頼が高いのは「法律雑誌」でした。マスメディアの中で最も高いのは新聞で、「信頼している」「やや信頼している」を合わせると57.4%と、相対的に信頼を寄せていることがわかりました。
一方で、最も信頼が低いのは「SNS」となりました。
信頼を判断する基準として、「発信者の実名、属性等が明示されているか」「取材源やデータが何であるか」という声もあり、匿名で自由に投稿できるSNSは、信用に値しないと考えている人が一定数いるようです。
*メディアを、テレビ(番組ネット配信を含む)、新聞(電子も含む)、ラジオ、法律雑誌、雑誌(法律雑誌を除く)、SNS、Yahoo!ニュースなどのポータルサイトの項目に限定して尋ねた。
●一方で、半数超がテレビや新聞の報道に「不満」前の設問で、新聞やテレビの信頼度は一定のレベルに達したものの、新聞やテレビの報道に法律家として満足しているかを尋ねたところ、「不満」「やや不満」と回答が56.3%。一方で、「満足」「やや満足」は13.0%に留まりました。
自由回答では、「逮捕段階の実名報道はよく考えて欲しい」「被疑者の逮捕段階で犯人かのようにその人物の過去を明らかにする行為はやめるべき」など事件の初期段階の報道について疑問を呈する声や、「『被告人』を『被告』と呼ぶのは刑事と民事の区別を無視して不適切」など法律家ならではの指摘もありました。
●報道について信頼度の判断「多くの情報にあたる」「情報ソースや裏取りの有無」自由回答で報道の信頼度を判断する基準として、以下のようなものがありました。
「1つの報道機関の情報のみで判断することはせず可能な限り多くの情報にあたりどのような異なる立場の意見を把握しつつ自身の意見を持つことが重要」
「発信者の実名、属性等が明示されているか、その情報に触れられるような立場・専門性があるか、一次資料に触れて流している情報か(伝聞でないか)、裏取りできるように引用元を明示しているか」
「政府等の権力や資本力の強い会社等の影響を受けていないか」
「誰にどのように取材したものであるかといった取材源やデータが何であるか、どこまで正確であるか、それが公表されているか」
コメント