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 『The Casting of Frank Stone』は、日本でも根強い人気を誇る『Dead by Daylight(以下、DbD)』を題材にしたホラーアドベンチャーゲームだ。販売はBehaviour Interactive、開発はSupermassive Gamesが務めている。2024年9月4日より、PlayStation 5Xbox Series X|S、PC(Steam/Epic Games Store/Windows)で販売中だ。

 DbDを土台にしたオリジナルストーリーに加え、複数の登場人物が交錯する群像劇、物語の展開を左右する選択肢、ファンサービス旺盛の小ネタなどが本作の特徴。シングルプレイ重視のDbDを楽しみたい方に打ってつけのタイトルといえるだろう。

 今回、筆者は『The Casting of Frank Stone』をクリアできたので、本記事ではクリア後レビューをお届けしたい。

結末が気になるストーリーにドハマリ!
殺人鬼「フランク・ストーン」にまつわる恐怖の物語

 まずはDbDがどのようなゲームなのかを軽く説明しておきたい。

 DbDとは、Behaviour Interactiveが手がけた非対称型サバイバルホラーゲームだ。2016年にリリースされてから8年が経つが、現在もなお世界中で高い人気を得ている。

 プレイヤーは4人の生存者と1人の殺人鬼のいずれかを操作し、各々の目標を達成すべく行動する。生存者は殺人鬼に見つからないように発電機を直して脱出、殺人鬼は生存者を見つけて倒すことが目的。わかりやすくいえば「サバイバル要素の強い鬼ごっこ」だ。

 そんなDbDの派生作が、今回紹介する『The Casting of Frank Stone』だ。本家のDbDマルチプレイだったのに対し、本作はシングルプレイ専用となっている(最大4人の協力プレイもある)。

 本作の舞台は、アメリカ・オレゴン州にある架空の町「シーダーヒルズ」。1960年代に殺人鬼「フランク・ストーン(Frank Stone)」が残忍な凶悪事件を起こしたことで名高い町だ。

 1960年代に発生したフランク・ストーンの殺人事件は、1りの巡査の活躍によって幕を閉じる。フランク・ストーンは巡査に射殺されたが、彼の魂は死んでおらず、「シーダーヒルズ製鋼所」の地下で眠り続けていた。1980年に、4人の若者がこの製鋼所を訪れるまで……。

 『The Casting of Frank Stone』は序章の「1968年」から始まり、それ以降は「1980年」と「2024年」のパートが交互に進行する。異なる時代を行き来しながら、複数の登場人物が織りなす群像劇を体験するといった形だ。数々の困難をかいくぐり、エンディングに到達すればクリアとなる。

 建物内の探索やちょっとした謎解き、殺人鬼からの逃走と、プレイヤーを飽きさせない展開が続く。さらに8ミリカメラを使ったバトルもあり、本作の遊び応えはかなり高い。

 『The Casting of Frank Stone』はDbDと異なる世界線が舞台なので、原作を知らない人でも十分楽しめると感じた。筆者はDbDをそこまでプレイしていないうえに、世界観もイマイチわかっていない人間だ。しかし本作はDbDの知識がそこまで問われないため、初見でも違和感なく遊ぶことができた。

 また、結末を見てみたいという欲がだんだん強くなるストーリーテリングが秀逸だった。登場人物の表情がリアルなのもそうだが、ホラー映画海外ドラマのような先が読めない物語性が筆者の心に強く刺さった。さすがはホラーゲーム職人のSupermassive Games。

選択肢がストーリーの結末を決める!
5時間前後のボリュームだがリプレイ性は高め

 『The Casting of Frank Stone』の特徴として、マルチエンディングを採用していることが挙げられる。複数のエンディングが用意されているため、どのような結末を迎えるかはプレイヤーの決断にかかっている。

 本作の結末を決める手段が、プレイ中に発生する選択肢イベントだ。選択肢によってストーリーの展開が分岐し、やがてひとつの結末へと到達する。選択肢だけでなく登場人物の行動も関係していて、予期せぬタイミングでストーリーの展開が変わることも。

 筆者の場合、5時間前後で1周目をクリアできた。ストーリー自体のボリュームはそこまで多くなく、1日に5時間前後の余裕があれば一気にクリアできるかもしれない。「思った以上に短い」と思っている方も少なくないだろうが、周回プレイを考えたら申し分ないボリュームといえる。

 5時間程度のプレイ時間が短いと感じる人もいるだろうし、ちょうどいいと感じる人もいるだろう。どう捉えるかはプレイヤー次第だ。ちなみに筆者はちょうどいいと感じている派だ。

 ちなみに本作は1周目をクリアすると「編集室の床」を解放でき、選択肢イベントからやり直せる。イチからやり直してもよし、選択肢イベントからやり直してもよしと、周回プレイの楽しみ方はさまざまだ。

ファンなら絶対ニヤリとする"DbDらしさ"が豊富!

 ここからは、『The Casting of Frank Stone』で体験できる"DbDらしさ"について語ろう。DbDファンが思わずニヤリとする演出が多いのも本作の魅力だ。

 まず本作は、DbDのプレイ経験者ならご存じの「スキルチェック」を採用している。回転する針をゲージ内(白ならクリティカルの成功、黒なら成功)に止められたら成功、止められなかったら失敗といったものだ。

 DbDお約束といわんばかりに、『The Casting of Frank Stone』でも発電機を直す場面がある。修復中にスキルチェックが発生するので、DbDさながらの緊張感が味わえるのがたまらない。スキルチェックに失敗してしまったときの恐怖を味わってもらいたいものだ。

 そのほか、DbDに登場する殺人鬼のぬいぐるみを回収するコレクター要素もあった。可愛らしさと不気味さを兼ね備えたデザインが印象に残るかもしれない。実績解除を狙うなら、これらのぬいぐるみを探してみるといいだろう。

 このように、本作にはDbDファンがニヤリとする小ネタが用意されている。ファンサービスが豊富なので、DbDファンも存分に楽しめるのではないだろうか。

【まとめ】惜しい部分もあるが、ストーリー重視のDbDが楽しめる貴重な作品

 『The Casting of Frank Stone』はDbDファンだけでなく、DbDを知らない人でも十分楽しめるホラーアドベンチャーゲーム。本作を開発したSupermassive Gamesのストーリーテリングが見事で、ホラー映画さながらの恐怖とスリルが味わえるのも魅力だ。

 複数あるエンディングをすべて回収する楽しみ方もあるため、一度クリアしたらそこで終わりにするのはもったいない。本作のストーリーに隠された謎を考察したり、コレクションアイテムを回収したりと、リプレイ性が意外と高いからだ。

 唯一の欠点を挙げると、表現規制がやや目立つことだ。筆者がプレイした日本版は表現規制が強く、ショッキングな場面になると画面が真っ暗になることがしばしば。その表現が原因でストーリーの没入感が削がれることが稀にあり、少々残念な気持ちになってしまった。

 惜しい部分も少々あるが、『The Casting of Frank Stone』はストーリー重視のDbDを楽しみたい方にオススメできる。ポップコーンをお供に本作をプレイするのも悪くないだろう。

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