忖度なしの物言いで時には物議を醸し、スキャンダルを起こすこともある名物市長が、音楽界に進出した。
9月16日、東京・有明ガーデンのステージに現れたのは、愛知県名古屋市の河村たかし市長。イベントの応援スピーチか何かか…と思いきや、なんと歌手としての登壇だった。
このイベントは河村市長の歌手デビューシングル「何をやってもしかられる」の配信記念を兼ねており、地元名古屋を拠点に活動する女性ダンス&ボーカルグループ「SAKURA GRADUATION」を従えて、パフォーマンスを披露。
振り付きで熱唱した75歳の新人歌手に、観客からは大きな拍手と声援が送られ、場内は終始温かい雰囲気に包まれた。楽曲は日々の困難や逆境にもかかわらず、前を向いて歩んでいく姿を描いたもの。河村市長が自ら作詞を手がけている。
イベントの最後に行われた質疑応答では、河村節が炸裂。MCから「アーティスト河村たかしに対する質問でお願いします」との注意があったにもかかわらず、河村市長は自ら政治に言及。
「今の政治は嘘が多く、本当のことを伝えて、皆を幸せにしなければならない」
名古屋弁を交えて、現在の政治に対する考えを熱弁した。さらに、自身の給与削減や市民への貢献に関する話題を織り交ぜながら、名古屋市長としての責務を強調した。
歌手としての目標はというと、
「レコード大賞で最高齢新人賞を獲る。若造しとるけど、75だよ」
軽妙なトークで会場を沸かせるのだった。そして、
「こないだ撮影したミュージックビデオは、私の人生で最大の喜びだった」
感慨深くそう語りつつ、政治家としての責務とアーティストとしての挑戦を両立させたいとの意気込みを示している。ここで河村氏は、
「これまで(同じようなパターンでは)春日さんの曲しか聴いたことがない」
「歌う政治家」の先駆者、春日一幸氏を引き合いに出してライバル視しつつ、アーティストとして名古屋の街を明るくするために全力を尽くす姿勢を示したのだった。
市長と歌手の二刀流で、最高齢新人賞の「野望」と名古屋市民の幸せな生活を実現させられるか。
(小津うゆ)
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