年齢の離れた人物の言動にジェネレーションギャップを感じた経験は、誰しも一度はあるはず。

現在X上では、とある家庭で13歳の娘が作成したプレゼン資料に、驚きの声が続出しているのをご存知だろうか。

 
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■この資料、レベルが高過ぎる…

ことの発端は、株式会社CRAZY CHAMMYの代表取締役・チャーミー氏が投稿したポスト。

こちらの投稿には30秒程度のショートムービーが添えられており、「縮毛矯正について」と題したスライド資料の内容が確認できる。

娘のプレゼン

資料は「毎日私は5時に起きて髪の毛を真っ直ぐにするため、セットに2時間ほどかけています」という縮毛矯正を受けたい理由の説明から始まり、その後も矯正を受ける精神的・経済的なメリット、クリニックの候補が順序立てて説明されていき、最後は「ご検討よろしくお願いします」と締められていた。

娘のプレゼン

そして、ポスト本文には「どうしても縮毛矯正をしたい13歳の娘が、プレゼン資料をパワポで作ってきて」「かなりしっかりめに….プレゼンテーションしてきました」と、微笑ましくも驚きのネタばらしが綴られていたのだった。

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■なぜか「炎上」のような騒ぎに…

なお、娘さんは見事に縮毛用の予算を勝ち取ったようで、ポストは「今後、我が家では1万円を超える物や事は、プレゼン資料にまとめて出すことになりました(笑)」と締められている。

件のポストは瞬く間に話題となり、投稿から数日足らずで1.5万件以上ものリポストを記録するほど。

Xユーザーからは「めちゃくちゃ分かりやすくて、最後まで見ました。すごい!」「家庭内でプレゼンのスキルアップもできて良いかも。子どもが大きくなったら取り入れたいです!」「熱意が伝わる素敵なパワポ! ここまでされたら出さないわけにはいかないですね」「ただ与えるだけでなく、自分で考えさせるの良いよね」など、称賛の声が多数寄せられていた。

しかし一方で、一部のユーザーからは「娘さんが悩んでるんだから、縮毛矯正のお金くらい普通に出してあげなよ」「親は何も言わず、お金出してほしいよ本当に」「娘が2時間も早起きしてるの見て、今まで何も思わなかったの?」といった疑問の声が噴出している。

娘のプレゼン

結果として「お金の価値やプレゼンが学べる素敵な家庭」派と、「髪質は親の遺伝のせいだから黙って金出せよ」派が衝突する、地獄のようなルートに突入。

中には、見るに耐えない誹謗中傷をチャーミー氏に送りつける人物も現れ、気づけば「炎上」のような事態になってしまった。

このように、投稿の内容を「全て」と受け取り自身の思想を加えて曲解したり、細部を確認しないまま謎の義憤にかられて他人を中傷する愚行は、Xにおいて昼下がりのコーヒーブレイクのような日常風景である。

そこで今回は、投稿の意図や娘さんの気持ちを知るべく、ポスト投稿主・チャーミー氏に詳しい話を聞いてみることに。すると「SNSの闇」が改めて明らかになったのだ…。

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■実は「真逆」の舞台裏があった

チャーミー氏によると、娘さんがスライド資料を作成し、プレゼンを披露したのは今回が初めてだという。

作成の経緯について、チャーミー氏は「(娘は)PCのスキルがとても高く、日頃から『こんなこともできるよ!』と、色々なスキルを見せてくれます」「逆に私はPCに疎く、仕事のプレゼン資料も主にスタッフが作成するため、最終チェックが専門でした」と振り返る。

ある日、娘さんから「パワーポイントも使えるようになった」という報告を受け、驚いて「じゃあ何か作ってみて」とリクエストすることに。

すると、娘さんも覚えたパワポ技術で何か資料を作ってみたかったそうで、「じゃあ縮毛矯正のプレゼン資料作るね!」とノリノリな様子を見せる。かくして、今回のスライド資料が作成されたのだった。

批判的な声を上げたXユーザーの中には「癖っ毛に悩む我が子が頑張って、必死でスライド資料を作った」という構図を思い浮かべた人物もいるかと思うが、真実はその逆。

まず、娘さんの「パワポで資料を作ってみたい」という思いが先にあり、そこから現在興味を抱いている「縮毛矯正」という話題をピックアップしたワケである。

また「縮毛矯正」や「髪のセットに2時間」といったワードについても、「娘はとても強い癖っ毛ではなく、いわゆるおしゃれストレートな髪型にしたいようです」「早朝の2時間全てを髪のセットにかけているワケでなく、諸々の準備や美容、のんびりしたりする時間を含めてのトータル時間となります」とのこと。

「1万円を超える出費」に関する新ルールについても、「毎回プレゼンさせる」といったガチガチのものではない模様。実際、既に「プレゼン無し」の状態で、娘さんのそこそこ高額なおねだりを聞いてあげたそうだ。

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■それにしてもこの娘、ノリノリである

娘のプレゼン

なお、娘さんは自身の資料が大きなバズりを記録したことに満足しており、「私のお陰で母が万バズした」と、完全にノリノリな様子を見せる。

同ポストが一時期、イーロン・マスク氏の固定ポスト以上のインプレッション数を叩き出したことについて、「就活する年齢になったらこのポストとインプ数をアピールする」とまで宣言。一連の炎上騒動すらもポジティブに受け止める逞しさを見せており、既に大物の風格を漂わせている。

欧米諸国と比べ、日本はプレゼンやディベートの機会に恵まれていない。しかし国際社会に順応し、生き抜くには、チャーミーさんの娘さんのように「自分の意見を筋道立てて相手に伝える」能力と、チャーミーさんのように「相手の意見を真摯な姿勢で聞く」能力が不可欠となってくる。

ネット上に投稿された断片的な情報を曲解し、赤の他人に感情的な言葉を浴びせるのとは真逆の、非常に有益で実用的なスキルと言えるだろう。

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■執筆者プロフィール

秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク

新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。

X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。

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