「鉄塔武蔵野線」という小説があります。これは銀林みのるのデビュー作で、日本ファンタジーノベル大賞受賞作です。小学生が夏のある日、鉄塔を追いかけてゆくという話です。この話の驚くべきところは、作者自身が鉄塔ファンであり、物語とともに、鉄塔の写真を実際に添えてきたことです。当初、新潮社から刊行され新潮文庫に収められましたが、絶版後はソフトバンク文庫から復刊しています。その際、作者の意図に沿った写真図版が充実したものとなっています。

映画にもなっている

さらに「鉄塔武蔵野線」は映画化もされています。主演を演じるのは今や名俳優となった伊藤淳史さんです。当時は「とんねるずのみなさんのおかげです」のちびノリダー役の彼ということで知られていました。ひと夏の冒険話に仕上がっていますので、これから夏を迎えるシーズンに見てみると良いかもしれません。

鉄塔を追いかける

「鉄塔武蔵野線」の魅力は、その鉄塔が実際に存在するということです。作者自身がそれを追いかけて写真に収めているのです。実際の世界をモデルに、そこから物語が紡ぎだされるというのは、とてもファンタジックな世界観があります。それは「となりのトトロ」にあるような、あなたのそばにいるかもしれないというワクワク感にもつながるものがあるでしょう。まったくのゼロからのフィクションではない、誰しもが共感できるテーマというものがそこにはあるのです。

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