過去5万本の記事より大反響だった話をピックアップ!(初公開2023年10月13日 記事は取材時の状況)
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昨今は大手回転寿司チェーン店での迷惑行為から始まり、飲食店における“客のとんでもない行動”が話題になることも多々。店内で迷惑客に遭遇し、顔をしかめた経験をもつ人もいるだろう。
今回は、飲食店の元店員たちが体験した迷惑客のエピソードを紹介する。
◆「どうしても白髪ネギにしろ」とムチャな要求
ラーメン店で働いていた渡辺友樹さん(仮名・20代)は、ある日入店した男性客について話してくれた。
「注文をうかがいに行くと、『味噌ラーメンの大盛りで。赤ネギから白髪ネギに変更して、細かく切ってくれ』と言いました。ただ、私が働く店では、ネギを細かく切るようなサービスを行っていないどころか、白髪ネギもありません。私は、正直に『申し訳ございません。当店では白髪ネギの取り扱いがないために提供できません』と説明しました。
すると、『ワシは大阪の人間なんや。白髪ネギのないラーメンなんか食えるわけないやろ!』と返されてしまい、呆れて言葉も出ませんでしたね。そこで、マニュアルに書かれてあったことを思い出したんです」
それは、“迷惑客が来店したときは、店長に報告して対応を交代する”というものだった。
「私は、『上の者が参りますので、少々お待ちください』と言いました。その後、店長が説明して、なんとかネギの件は解決したのですが……」
◆大量のティッシュで嫌がらせ
しかし、これだけでは終わらなかった。
その男性客からティッシュ箱を交換するように言われたという。渡辺さんが、“満タンの箱を置いたばかりだったのになぜ?”と疑問に思っていると、テーブル上にはありえない数の丸めたティッシュが……。しばらく見ていると、男性客は一口食べるごとにティッシュを5枚くらい使い、そのティッシュを隣の席まで散乱させていたそうだ。
「最終的には、2箱目のティッシュもなくなりかけていました……」
やっと帰った男性客が座っていた席を見ると、案の定、散らかったティッシュとこぼれたスープでぐちゃぐちゃに汚れていたという。渡辺さんは「もはや嫌がらせだと思いました」とため息をついた。
◆大酒飲みの常連客が大喧嘩
山田瑞希さん(仮名・20代)は学生時代、60代の夫婦が営む小さな喫茶店でアルバイトをしていた。
「いちおうメニュー表はあるものの、お客さんは食べたいものを気まぐれで注文できたんです。夜にはお酒も提供するなど、いろいろ曖昧な部分は多くて。お客さんのほとんどは常連で、いい意味で非常に身内感の強い感じでしたね」
のちにトラブルを起こすAも、常連の一人だったそうだ。
「Aはマスターの地元の先輩で、マスターも『Aさんには事あるごとにお世話になった』と話していました。気前のよい大柄な男性で、豪快に笑う。たばこを空気のように吸い、酒をガブガブと飲む様子は、見ていてすごく爽快だったのですが……」
◆怒号が飛び交う店内
ある日、山田さんが夜に出勤すると、そこでは怒号が飛び交っていたという。
「店内では、Aが一見のお客さんと怒鳴り合っていたんです。2人とも今にも殴りそうな勢いでした」
山田さんが働いていた喫茶店では、酒に酔った客同士の争いごとはそれほど珍しいことではないと話す。そもそも客同士は基本的に見知った仲であるため、加減を知ったうえでの口喧嘩は問題にはならなかった。
しかし、そのときの様子は違ったと山田さんは振り返る。
「Aは普段の気さくな雰囲気から一転、顔を真っ赤にして針で突けば破裂しそうなほどの血管を浮かべていたんです。普段の言い争いを適当にいさめているマスターさえも腰が引けていました」
◆常連客に“出禁”を通達
一見客の男性がAの胸倉を掴んでからは、互いに卓上の瓶をなぎ倒しながらの取っ組み合いに……。
「椅子を蹴飛ばすなど、結局、争いが収まる気配はなく、警察を呼びました。逮捕まではいかなかったもののキツいお叱りを受けたようです。そして、マスターはお世話になった先輩でもあるAを“出禁”にしました。
後日聞いたところによると、相手の男性はAが連れてきたお客さんだったそうです。もともと別の飲み屋で意気投合し、マスターのお店で飲み明かすなかで、ふとテーブルを横切った虫をAが酔った悪ふざけで男のジョッキに入れたことが事の発端のようです」
まさか常連客が迷惑客に変貌するとは……山田さんは苦笑いだった。
<取材・文/chimi86>
【chimi86】
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。
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