フランス人を31年以上も熱狂させてきた宝探しがついに終焉を迎えたそうだ。国内のどこかに埋められていた黄金のフクロウ像のレプリカが、ようやく発見されたのだ。
2024年10月3日、Discordの公式チャンネルに、黄金のフクロウのレプリカが掘り出され、謎解きの解答が提出されたとして、宝探し終了を告げるアナウンスが投稿された。
今のところ、誰がどこでお宝を発見したのかは明らかにされていない。
だが、このアナウンスによって、世界で2番目に長かった宝探しイベントに正式に幕が下ろされたことになる。
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フランス人を熱狂させた黄金のフクロウ探しイベント
宝探し終了を正式に発表したのはミッシェル・ベッカー氏である。
1993年に出版された謎解き絵本『Sur la Trace de la Chouette d’Or(黄金のフクロウの足跡を追え)』のイラストを描き、「黄金のフクロウ像」を制作した人物だ。
本の著者である故マックス・ヴァランタン氏は、フランスのどこかに埋められた黄金のフクロウの”レプリカ(複製品)”を発見できた人物に、オリジナルのフクロウ像を与えると約束した。
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フクロウは当時の価格で100万フラン、現在なら30万ユーロ(約4800万円)と推定される文句なしのお宝だった。
かくして一攫千金を狙うトレジャーハンターたちが、こぞって宝探しに熱中するようになった。
オンラインの意見交換が逆に解決を遠ざけることに
お宝のありかのヒントは、絵本で出題されている11のなぞなぞだ。
これをすべて解き、その答えを組み合わせることで、フクロウを埋めた場所が明らかになる仕掛けである。
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だがなぞなぞは想像以上に難解なものだった。
それでもオンラインフォーラムを通じて、トレジャーハンター(フランスで”シュエットゥール”と呼ばれる)たちは推理をシェアし、おそらく正解だろうと思われる答えにたどり着いた。
だが、そこから浮かび上がってくる最後の12番目の謎解きがこれまた難解だったのだ。
宝探しスタートから31年以上が経過するというのに、これまで誰もそれを解くことができなかった。
皮肉にもオンラインで意見交換できたことが、解決をいっそう遠ざけた可能性もある。
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ある古参トレジャーハンターによれば、あまりにも多くの推理がシェアされたことで、かえって解決が難しくなってしまったらしいのだ。
黄金のフクロウ探しをめぐって裁判沙汰になったことも
難解すぎる宝探しは、いく度か裁判沙汰にもなっている。
例えば、ベッカー氏は、著者ヴァランタン氏亡き後、唯一フクロウのありかを知るその家族に対して、隠し場所を教えるよう訴えた。
当時、黄金のフクロウ(オリジナルのお宝)自体は制作者であるベッカー氏の手元にあったが、なぞなぞの解答が入れられた封筒は、著者の遺族の手に渡っていたのだ。
さらにベッカー氏が黄金のフクロウを売ろうとしたことが露見し、怒り狂ったトレジャーハンターたちから訴えられたこともある。
この裁判では、フクロウの所有権はその複製品を発見した者に帰属するため、売却はできないと判示された。
多くのフランス人を熱狂させた宝探しだが、あまりにも難解すぎることから、最近ではその終結を望む声も高まっていたようだ。
そんな中、ベッカー氏は最近、次々とヒントを公開し、熱心なトレジャーハンターから怒りを買っていたようだ。
31年5カ月と9日後、ついに終焉を迎える
そしてついに、31年5か月9日を経て、黄金のフクロウが発見され、その謎解きのプロセスも正しかったことから、宝探しが終焉した。
終了を惜しむ人、安心する人、不正を疑う人 そんな紆余曲折を経た宝探しも、ついに終わったのだ。
このニュースを知ったトレジャーハンターたちの反応はさまざまだ。
フォーラムには、「衝撃的」「耐えられない」「涙がこれぼれた」など、ゲームの終わりを惜しむ声が投稿されている。
その一方で、「ほっとした…自由になったんだ!」と、難解すぎる宝探しが終わったことに安堵する声や、不正行為を疑う声もあるという。
だが今、彼らの最大の関心事は、誰がどこでフクロウの複製品を発見したのかということだ。
少なくとも、木曜日の宝探し終了のアナウンスの時点では、どちらも明かされていない。
いずれにせよ、世界で2番目に長く続いた宝探しイベントは、これにて正式に終了した。
ちなみに1番目に長い宝探しイベントは、今もなお続けられている。
それは1982年に出版された『The Secret』だ。このクエストは、米国とカナダのどこかに埋められた12個の宝物を探すというもの。現時点でまだ3つしか発見されていないそうだ。
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