10月上旬のある日、東京都内の閑静な住宅街。自宅から車に乗り込んだのは西田敏行(76)。仕事へ向かうところだった。
11月で喜寿を迎える西田。近年は自身の体調問題がたびたび取り沙汰された。
「米倉涼子さん(49)主演の人気ドラマシリーズ『ドクターX』の劇場版が12月に公開されます。それに先駆け、8月にファンミーティングが開催されました。
『ドクターX』で西田さんが演じるのは大学病院の院長代理という重要な役。米倉さん演じる大門未知子との掛け合いが見どころのひとつです。しかし西田さんがファンミーティングに登壇することはなく、VTRでメッセージが届けられました」(映画関係者)
西田は’01年、首の骨が変形して手足のしびれが起こる頸椎症性脊髄症を罹患。’03年には心筋梗塞で緊急入院した。
’16年には自宅のベッドから転落して頸椎亜脱臼。さらにその直後、胆のう炎が発覚した。
「近年の出演作では’21年1月期のドラマ『俺の家の話』(TBS系)では車いすを使用する役、’22年のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』でも座ったシーンがほとんど。撮影中にうずくまってしまうこともあったようです。
’19年には、長年司会を務めた『探偵!ナイトスクープ』(ABCテレビ系)を降板していますし、かなり体調は悪いものとみられていました」(スポーツ紙記者)
’21年2月には『女性セブン』がドラマの撮影の合間も西田が車いすに乗る様子を報じている。
最後に公の場に姿を現したのは’22年2月。出演した映画の舞台挨拶だったが、このとき西田は杖を握っていた――。
そして10月8日、西田は約2年半ぶりの会見に臨むという。
「劇場版『ドクターX』の製作発表会見です。西田さんは昨年の撮影現場でも車いすや杖が手放せないほどの状態で、時短で撮影が進められました。
それでも西田さんは、弱々しい姿は見せたくないという俳優としての矜持を持っています。そのため今回の会見でも登壇直前まで西田さんが車いすだと想定し、舞台に上がる直前までお客さんから見えないようにパーティションで隠す方法などを準備してきたといいます」(前出・映画関係者)
足腰の状態が万全ではないながら、次回作が控えているという。
「西田さんは来年1月期のドラマに出演予定です。率直に言えば、西田さんは体調の問題から演じる役にも制限があります。しかしそれでも西田さんに演じてもらいたいという声は多く、断続的にオファーが続いていると聞いています」(テレビ局関係者)
西田が不屈の俳優魂を見せるのには、最愛の妻の存在が――。
「西田さんは所属事務所とは別に個人事務所を持っており、4歳年下の奥さんが個人事務所の社長を務めています。
満身創痍になりながらもドラマや映画への出演を続けていますが、これには社長である奥さんの意向も強く関わっているようです」(前出・テレビ局関係者)
というのも、西田の妻は俳優・西田敏行の大ファンだというのだ。
「’71年、西田さんが所属していた劇団に研究生として奥さんが入ってきたのが出会いのきっかけでした。同棲を機に奥さんは劇団を退団。西田さんの下積み時代には喫茶店やブティック、ときにはスナックで働いたことも。西田さんを敬愛しているからこそ、献身的に支えてきたのです」(前出・テレビ局関係者)
前出のスポーツ紙記者も言う。
「奥さんもかつては女優だっただけに、役者にとって撮影現場は生きがいであることをよく理解しているのでしょう。それに人気商売ですから、仕事のオファーは精神的な安心感にもつながります。奥さんは、仕事が西田さんの“最大の良薬になると考えているのでしょう」
西田もその思いに応えるかのように、回復に励んでいるようだ。冒頭、本誌が目撃した西田は杖も車いすも使っていなかった。妻に寄り添われて介助を受けながら、一歩ずつゆっくりではあるが、自身の足で歩いていた――。
「西田さんが出演予定の1月期のドラマは、主演が唐沢寿明さん(61)、共演には鈴木保奈美さん(58)が名を連ねます。西田さんはこの2人とは昨年放送されたドラマ『フィクサー Season2』(WOWOW)でも共演しており、気心の知れたメンバー。西田さんもかなり気合が入っているそうです。
劇場版『ドクターX』の撮影現場でも西田さんはアドリブで現場を盛り上げるなど、大御所ながら明るい雰囲気づくりを心掛けていました。こうした人当たりのよさもオファーが続く秘訣なのでしょう」(前出・テレビ局関係者)
’19年に西田が『ナイトスクープ』を降板して引退が囁かれた際、妻は本誌の取材にこう語っている。
「主人は、死ぬまできっと現役です。お仕事さえいただければ、続けていきたいと思っているんじゃないかしら」
いっぽうの西田も、かつてこうコメントしている。
《まだまだ表現者としてのポテンシャルを探ってみたいと思うんです》(「スポーツ報知」’17年3月31日)
妻の「もっと働いて!」。これは西田にとって叱責ではなく、車いすからの回復を導いた愛の鞭だった――。
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