要救助者を海の上で次々に引継ぎ。

水陸両用のUS-2救難飛行艇だからこそ

海上保安庁は2024年10月9日海上自衛隊や医師らと連携して洋上における救助活動にあたったと発表しました。

事案が発生したのは1か月ほど前の9月4日午後4時40分ころで、青森県の尻屋崎灯台から東北東約3070km付近の海域において日本船籍のイカ釣り漁船から通報があったそう。その内容は「乗務員の右瞼(まぶた)に釣り針が刺さり負傷したので救急搬送を願う」というものでした。

これに対し、東北周辺の海域を受け持つ第二管区海上保安本部から巡視船「くりこま」が出動するとともに海上自衛隊航空集団へ災害派遣を要請、US-2救難飛行艇も向かいました。

太平洋上で当該漁船と会合した「くりこま」は、搭載する小型艇で機動救難士2名を漁船へ向かわせます。そして船上で要救助者を密閉式担架に入れると、海面搬送ののち小型艇に載せて「くりこま」に収容、今度はUS-2へと引き継ぐために移動を開始します。

一方、US-2は八戸航空基地で八戸市民病院の医師など3名の医療関係者を載せ、「くりこま」との会合地点まで飛来し、洋上にて海上保安庁から海上自衛隊へと要救助者の引継ぎが行われました。

その後、要救助者を収容したUS-2はただちに離水、八戸航空基地に着陸すると、そこで待機していた地元消防本部の救急隊へとバトンタッチ。こうして無事に要救助者の緊急搬送は幕を閉じています。

まさに、各機関が連携して遠方の海域から急患搬送を見事やり遂げた形といえるでしょう。なお、海上保安庁では今回の急患搬送の様子を収めた動画をYouTubeで公開しています。

太平洋沖で行われた海上保安庁と海上自衛隊の救急搬送の様子(画像:海上保安庁)。