病気や事故によって容姿が変わってしまった場合、他人からの心ない言葉に傷つくことも多い。イギリスのある男性は、顔に多数の腫瘍があるため、入店したレストランの店員から退店を求められてしまった。男性が大きなショックを受け、動揺したことを英ニュースメディア『Metro.co.uk』などが報じた。
英サリー州ライゲイト在住のオリバー・ブロムリーさん(Oliver Bromley、42)は、遺伝性疾患である「神経線維腫症1型」を患っている。彼はこの疾患により皮膚に多数の非がん性の腫瘍ができ、他人から奇異の目で見られることもあるという。
そんなオリバーさんは今年8月、ロンドン南東部のキャンバーウェル地区にあるキングス・カレッジ病院に入院していた。当時、病院食に飽きていたオリバーさんは、ランチを外で食べようと思い、地元のレストランに入った。しかし、支払いが現金のみと書かれた看板に気付き、レストランを出てATMで現金を引き出した。
そして、オリバーさんはレストランに戻ったが、カウンターの向こうにいた男性店員から退店するように言われてしまった。オリバーさんは、英国放送協会『BBC』のインタビューに応じ、当時の状況をこう語った。
「注文するためレストランに戻ったのですが、店員から『退店をお願いします』と言われたのです。店員によると、私が『客を怖がらせている』と苦情があったと言うのです。でも、私が最初に入店してから戻ってくるまで、それほど時間は経っていないので、客が苦情を伝える時間はなかったはず。明らかに店員が私の容姿を気に入らなかったんだと思います。」
オリバーさんは店員と議論もせず、仕方なくその場を離れたが、ショックのあまり地元の公園に行き、心を落ち着けてからどう対処するかを考えた。後日、オリバーさんはレストランに苦情の手紙を送ったが、返事がなかったので警察に相談した。しかし、警察からは「ヘイトクライムとして受け止めるが、これ以上の追及はしないだろう」という返答だった。
オリバーさんは「自分の症状について質問されることは気にしませんが、その質問さえありませんでした。彼らは私の腫瘍が他人に感染すると勘違いしたのでしょう」と語った。その後、神経線維腫症などの患者をサポートする団体「Nerve Tumours UK」が、今回の件について知ることとなり、このレストランとホスピタリティ業界の企業が集う団体「UKHospitality」に書状を送った。「Nerve Tumours UK」のディレクター、カレン・コバーンさん(Karen Cockburn)は次のように明かしている。
「レストランからの返事はありませんが、UKHospitalityから『ホスピタリティ業界に、この病気の認知度を高めるため協力したい』との申し出があり、私は嬉しく思っています。」
オリバーさんはレストランの対応に加え、警察がこれ以上介入できないことに失望したものの、「顔面奇形など見た目が普通と異なる人々への認知度を高めるきっかけになった」と話している。そして、レストランで起きた出来事について次のように述べた。
「こんなことは今までに一度もありませんでした。しかし、私はレストランに対して仕返しをするつもりはありません。」
画像は『MetroUK TikTok「Oliver Bromley was ordered to leave a restaurant because his face was ‘scaring customers.’」』『Metro.co.uk 「Man ordered out of restaurant ‘because his face was scaring customers’」(Picture: Oliver Bromley/SWNS)』より
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)
コメント