「○○」駅に対して「○○市」駅の名で区別しているパターンは、関西にとても多く、間違えやすいポイントです。それぞれの「○○駅」「○○市駅」の距離感はどれほどなのでしょうか。

関西にやたら多い「○○駅」と「○○市駅」

JRや地下鉄、私鉄が複雑なネットワークを作る東京圏や大阪圏では、小さな市でも、複数の駅を持つことが珍しくありません。

そうした場合、駅名に「東西南北」や「新」を冠に付けて区別するのが一般的ですが、大阪圏では駅名に行政区画である「市」を加える例が、しばしば見られます。

ただここで問題となるのが、「○○駅」と「○○市駅」が必ずしも近接していないということです。ふたつの駅を間違えると、目的の場所にたどり着けない、待ち合わせている友人に会えないなどの結果につながりかねません。そんな要注意となる「市のつく駅」の例をご案内しましょう。

守口駅(大阪メトロ谷町線)-守口市駅(京阪本線)

京都から大阪へと流れる淀川の下流域左岸には、大阪メトロ谷町線京阪本線が並行して走っています。その谷町線の駅が「守口駅」、京阪の駅が「守口市駅」です。両駅の間は道の狭い住宅地になっていますが、距離は500m弱、歩いても6-7分で、間違えても大きなダメージにはなりません。

高槻駅(JR京都線)-高槻市駅(阪急京都線)

淀川の右岸はJR京都線東海道本線)と阪急京都線が大阪から京都までほぼ並行し、大阪神戸間につぐ競合区間になっています。とくに北摂エリアでは、駅そのものも近接するライバル関係になっています。

JR京都線の「高槻駅」と阪急京都線の「高槻市駅」も、そんな関係をもつ駅どうし。前者は新快速が、後者は特急が停まり、ともに主要駅となっています。距離は600mほどと、なんとか徒歩圏内です。

茨木駅(JR京都線)-茨木市駅(阪急京都線)

この「茨木駅」と「茨木市駅」も、高槻駅高槻市駅と同様の関係にあります。ただこちらは東西方向に1.3kmほど離れていて、歩くにはちょっとおっくうな距離と言えます。もし間違えたら、両駅を結ぶ路線バスの利用が便利でしょう。

摂津駅(大阪モノレール本線)-摂津市駅(阪急京都線)

「摂津駅」と「摂津市駅」も淀川右岸にある駅どうしですが、こちらは大阪モノレール本線と阪急京都線との関係になります。

両駅の距離は、淀川の支流の境川、大正川に沿って歩いて1.2kmほど。歩きたくなければ、大阪モノレール本線と阪急京都線が接続する南茨木駅を経由し移動しましょう。なお摂津市役所へは摂津駅の利用が便利です。

間違えるとアカンやつは「大阪の外」に

大阪府外の方が、気を付けるべき「〇〇駅」「〇〇市駅」のパターンがあります。

堺駅(南海本線)-堺市駅(JR阪和線)

大阪府の泉州地域では、南海本線とJR阪和線が並行して走りますが、その距離はつかず離れずで、ある程度の住み分けがなされています。堺市には南海本線が「堺駅」を、JR阪和線が「堺市駅」を置いていますが、その距離は3km以上あり、気軽に歩いて移動できるレベルではありません。

なお堺市役所はその両駅の中間、どちらからも2km弱の距離ですが、最寄り駅は南海高野線の「堺東駅」となります。デパート「堺タカシマヤ」の堺店も堺東駅の駅ビルに入居するなど、事前の確認がおろそかだと、間違える可能性は大きそうです。

和歌山駅(JR・和歌山電鉄)-和歌山市駅(南海・JR)

泉州を並行して南に走る南海本線とJR阪和線は、和歌山県境の手前で大きく離れ、南海本線は「和歌山市駅」へ、JR阪和線は「和歌山駅」を終点とします。

この両駅の距離は約3km。和歌山市駅に乗り入れるJR紀勢本線で移動できますが、日中の本数は1時間に1本で、便利とは言えません。また路線バスも、市街地を細かく停車して回るため、20分近くかかります。

大阪からの移動では、目的地の駅名をしっかり確認し、和歌山市駅であれば南海本線を、和歌山駅であればJR阪和線を選択すべきでしょう。

高田駅(JR和歌山線・桜井線)-高田市駅(近鉄南大阪線)

奈良市から和歌山市に延びるJR和歌山線と、大阪市南部から奈良県橿原市を結ぶ近鉄南大阪線は、奈良県大和高田市で交差します。その大和高田市にあるのがJR和歌山線高田駅」と近鉄南大阪線「高田市駅」です。

ただ高田市駅は両線の交点に近接しているもののJRの駅はなく、高田駅は交点の北1.2kmほど離れたところにあり、乗り換え駅としては機能しません。

両駅間の移動は路線バスが便利ですが、高田駅最寄りのバス停は西口から100mほど歩いた県道5号沿いとなります。駅前のバス停からのコミュニティバスは、本数が少ない上、大回りしての移動になるため、ご注意ください。

なお近鉄は、JR高田駅の北側に市名と同じ「大和高田駅」(大阪線)も設けていますが、高田市駅から大和高田駅までは橿原神宮前駅を大回りする必要があり、乗り換え時間を含め30分ほどかかります。

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以上、大阪圏の「市のつかない駅/市のつく駅」をご紹介しました。これらの駅がある街を訪ねるときは、乗り換え案内アプリだけでなく、地図アプリも参照し、目的地と最寄り駅の関係を把握しておいたほうがいいでしょう。

高槻駅と高槻市駅。こうしたパターンが関西には多い(画像:写真AC)。