過去5万本の記事より大反響だった話をピックアップ!(初公開2023年10月12日 記事は取材時の状況)
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ジェンダーという概念が多様化する中、人々の日常生活においてもさまざまな変化が見受けられる今日この頃です。ただ、そんな時代背景にまだまだ追いつけていない現状があることも事実です。今回は、とあるモールの女性向け下着売り場で起きたエピソードです。
都内にある女性下着売り場で店長を勤めて2年目の細田翔子さん(仮名・36歳)。国内外の高級下着類を集めたセレクトショップ的なお店で、他では入手できない商品が多いとあって、いつも幅広い層の女性客でにぎわっています。
◆最近よく見るスーツ姿の男性客
「決して男性客が珍しい訳でもなく、今までも奥さんのプレゼントを買いにきた男性客もいれば、母の日のプレゼントを購入する目的で来店する息子さんの姿も見たりしていました。だから基本的にはあまり気に留めていなかったのですが、ここ最近毎日訪れる男性客には少し気になる部分があったんです」
その男性客は、ごく普通の清潔感漂うスーツ姿で、年齢は40歳前後。毎回同じ場所の商品を、ただジーっと眺めていて、しばらくすると帰っていくのだそう。
「この前、少し離れた場所からその男性客の行動をチェックしていました。すると彼は、1枚、1枚指で肌触りをチェックしたり、商品タグを見比べていたりし始めたんです。ちょっとあの光景は何だかなーっていう感じでしたね」
◆勇気を出して声がけすることに
その日も夕方ごろからその男性は来店していたそうで、他のメーカーの下着にも珍しく目をやっていたとのこと。
「その男性が店内をウロウロしている様子を見た他の女性客が、会計を済ます際に『あちらの男性客、下着をジロジロと見てて変でした』と小声で話してくれたんです。私自身もずっと気になっていたので、その声に後押しされて声がけを決めたんです」
細田さんは、勇気を出してその男性客の方向に歩み寄り「ご来店ありがとうございます。何かお探しの商品などございましたら、お気軽にお声がけくださいね」と話しかけたそうです。
「男性は上品な口調で『いえ、あまりにも美しいので』とだけ返答し、また商品に目をやり出したんです。会話はそこでストップしてしまい、私もそれ以上何も言えなくなって……」
◆不快感をあらわにする女性客が増えていて…
細田さんは、ひとつ上のフロアに入っているジュエリーショップの店長に相談を持ちかけたといいます。
「特に被害とか問題が起きている訳ではないのですが、なんとなく釈然としないので、仲の良い店長に話を聞いてもらったんです。すると、そこのお店でも似たようなケースが過去にあったらしんです。ただ、その客は身なりも清潔ではなく、半ば泥酔状態だったので、最終的には警備の方に対処をお願いしたそうなんです」
しかし一方で、細田さんのお店に訪れる男性客は、外見も含め何の問題もないため、ますます対応に苦慮することになったそうです。
「私がいろいろ悩んでいる間も、あの男性客は毎日訪れているんです。ここ数日では、以前の女性客のように不快感をあらわにするケースが明らかに増えているんですよ。何か決定的な手を打たねばならないと感じました」
◆当たり障りのない解決方法
細田さんは、お店の定休日に本社へ出向き、統括マネージャーに助け舟を出してくれるように懇願したといいます。実は、本社でも最近そのような事例が少なからず起きていることを確認していたそうで、会社的な統一ルールを策定すると言ってくれたそうです。
「結構時間がかかりましたね。それで、会社側が出した答えは『このお店には女性以外のお客様も来店されます。ご理解、ご協力のほどどうぞよろしくお願いいたします』という店内掲示を行うというものです。ま、これが今の限界なんですかね」
早速、細田さんは、本社から送付されてきた店内掲示用POPを入り口などの目立つ場所に掲示してしばらく様子を見ることにしたそうです。
「あの男性客ですか? 相変わらず毎日来店されてますよ。あ、でもこの前はじめて商品説明を求められたんです。『これは僕に似合いますかね?』と、なんとなくこの先もいろいろありそうですね」
<TEXT/ベルクちゃん>
【ベルクちゃん】
愛犬ベルクちゃんと暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営
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