東京の都市計画道路「放射7号」が部分開通する見通しです。都心から関越道外環道に通じる目白通りの延伸部ですが、肝心の目白通りとの接続は果たされません。どのような効果があるのでしょうか。

部分開通して効果はあるか 目白通りの延伸部「放射7号」

東京・練馬区の都市計画道路「放射7号」が部分開通に向けて動いています。2024年10月現在、一部区間で歩道の舗装など開通に向けた仕上げの工事が進められています。

放射7号は、東京都心から関越道練馬IC外環道大泉ICに通じる幹線道路「目白通り」の延伸部にあたります。目白通りが途切れる大泉学園通りの「北園」交差点から、西東京市境までの約2kmが事業区間です。

2006年の事業開始から18年。ここ数年は“ほぼできている”ような状態のまま、未開通となっています。途中にある墓地が道路を阻む形となっているためです。地権者が膨大なことから、その移転と用地確保の難航が、テレビなどでもしばしば報じられています。

東京都第四建設事務所によると、「途中の都道24号より西側の区間の部分開通を考えています」とのこと。2kmのうちおおよそ西半分にあたます。その終点から先、西東京市に入って約560mの区間は開通済みで、4車線の南北道路である調布保谷線(伏見通り)に接続しています。

ただ、こちらが部分開通しても、墓地側の目白通りとはつながりません。

この目白通りから西東京市境までの区間は、南側に並行する「したみち通り」と呼ばれる狭い道路が抜け道になり、クルマと歩行者自転車が入り乱れる危険な状態であることが長年の懸案となっています。

放射7号の開通によって交通が分散し、したみち通りが安全になることが期待されていますが、東京都第四建設事務所によると、今回部分開通する都道24号より東側の区間は「ほとんど変わらないでしょう」とのこと。したみち通りの24号より東側の区間こそ、曲がりくねった細道で渋滞も慢性化している区間です。

部分開通のメリットについて同事務所は、「並行する“2つの道”の交通が分散し、安全になることが期待されます」と話します。

細道ばかりのエリアが「広い道に直結」

放射7号の部分開通で交通分散が期待される2つの道路のひとつは、したみち通りの都道24号より西側。もうひとつは、“24号そのもの”だそうです。

というのも、都道24号は放射7号の北側で西に進路を変え、放射7号に並行して練馬区埼玉県新座市西東京の市境付近を進んでいき、調布保谷線の終端にも接続しています。この道も狭いうえ交通量が多いといい、「放射7号は自転車歩行者の道も分離されており、安全が確保される」とのことです。

では、広域的に見て、今回の部分開通はメリットがあるでしょうか。そのカギは、西東京市側でつながる調布保谷線にありそうです。

調布保谷線は多摩川から調布市三鷹市武蔵野市西東京市を南北に貫く幹線道路として2015年に全線開通した、新しい道路です。西東京市の旧保谷市域は細道ばかりなうえ、西武池袋線新宿線の踏切でまともに南北を移動できませんでしたが、調布保谷線の開通で大きく変わりました。

付近に住む40代男性は、「保谷や三鷹の人は関越道外環道大泉IC)に行くのにも、埼玉方面に抜けるのにも、なるべく調布保谷線を使うはずだよ」と話します。

この調布保谷線から放射7号の事業区間をつなぐ開通済の約560mも、わずかな区間で中途半端に途切れてしまいますが、「あるとないとでは大違い」だいいます。そこから、したみち通りを抜けるか、あるいは北に回り込んで関越道の側道を通って大泉ICに抜けるか、状況次第で選んでいるとのこと。

逆に、今回部分開通する地域からも、調布保谷線への流れがあるため、そこへ直結する区間が少しでも延びればラクになるのではないか、ということです。

東京都第四建設事務所によると、放射7号の部分開通の時期は改めて発表するということですが、かなり近い時期であると考えられます。

なお、放射7号は調布保谷線から先、新座市東久留米市清瀬市を経て埼玉県所沢市の「東京狭山線」に接続する計画で、地域ごとに事業が進んでいます。最終的には東京都心の千代田区から、圏央道の狭山日高IC、さらには埼玉県飯能市まで1本道でつながるようになります。

西東京市側から見た放射7号の終端部。この奥が部分開通する見込み(乗りものニュース編集部撮影)。