温浴施設やショッピングモールなどで見かける、100円を何枚か入れると利用できるマッサージチェア。実はコロナ明けから需要が急速に増えているという。
【画像】まるで”無重力”なマッサージ体験が魅力の「あんま王4」(58万800円)
「コロナ禍で売り上げが一度落ち込んだものの、2023年から売り上げが急回復し、過去最高を塗り替えた」と話すのは、業務用マッサージチェア「あんま王」シリーズの開発・卸売りを手掛ける日本メディックの城田充晴社長だ。
同社の売上高はコロナ禍前まで7~8億円を推移していたが、2023年に入り12億7200万円と大幅に増収。2024年8月末時点の売り上げも前年同期比119%で進捗しており、前年をさらに上回るペースだ。
日本メディックが開発した「あんま王4」は、「無重力」感覚をうたうリクライニング機能を備えたマッサージチェア。利用者を覆うフルフェースフードでプライベート空間を確保しており、これが特徴的な外観をもたらしている。末端価格は58万800円だ。
利用料金は設置している施設が設定しており、12分間の使用で300円程度が一般的。売り上げは設置施設と、「オペレーター」と呼ばれる、マッサージチェアの仕入れ、設置施設への営業、メンテナンスなどを手掛ける企業とで分け合う。オペレーターにとっては稼働による“利回り”で仕入れコストを回収する、投資商材のような位置付けだ。
施設がマッサージチェアを導入する主な目的はデッドスペースの活用だ。例えばショッピングモールの場合、渡り廊下など売り場をつくりにくかった空間に導入することで、新たな収益源を確保できる。
●1台で1000万円稼ぐ事例も
あんま王4は2500時間の連続稼働を検証済みで、仮に10分200円で2500時間絶え間なく稼働し続けると300万円の売り上げとなる。
「ある温浴施設では数年にわたって稼働し続け、1台で累計1000万円稼いでいるケースもあります」(城田社長)
売り上げが回復した背景には、コロナ禍明けに伴って増加した買い替え需要がある。人の流れが活発化したことにより、もともと設置していたマッサージチェアの使用頻度も増加。消耗が進み買い替えニーズが生まれているという。
導入施設の業態も多様化している。近年は温浴施設だけでなく、大型ショッピングモール、コインランドリー、新幹線の駅の待合室などにも置かれるようになった。
パーソナルケア需要の拡大も遠因だと城田さんはみている。
「24時間営業のフィットネスジムを運営する大手企業が、美容目的の利用も訴求する一環として、マッサージチェアを導入するようになりました。それに倣うように同業他社から『マッサージチェアを導入したい』という引き合いが増えています」
12分300円で利用できるプライベートなマッサージ体験。今後どこまでニーズを捉えられるか。
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