この記事をまとめると
■昔は「外交官ナンバーのクルマには近づくな」といわれていた
■外交官は外交特権によって守られているので「当てられ損」になる可能性があった
■駐車違反や交通違反の反則金を払わないで逃げられることが問題視されている
トラブルばかりな外交官ナンバー問題
以前は「青色の外交官ナンバーを装着したクルマには近付くな」といわれた。青地に白抜きで文字や数字の書かれたナンバープレートを装着する車両は、外国の大使など外交官が使うクルマで、外交官特権によって守られているからだ。「外交官ナンバーのクルマが相手では当てられ損」という話もあった。
この状況は、いまは変わっている。外務省が外交官ナンバーの車両に任意保険の加入を義務付けるようになったからだ。たとえ外国の外交官でも、日本では日本の法律を守って運転するのは当然だ。外交官ナンバーの車両が交通事故の加害者になれば、当然に損害を賠償しなければならない。
しかし、すべてが日本のユーザー、あるいは日本で生活する一般の外国人と等しいわけではない。ウィーン条約に基づき、外交官は刑事事件で訴追されたり身体を拘束されることがないからだ。いわゆる不逮捕特権で守られている。
たとえば交通違反で取り締まられた場合、放置して反則金を支払わないと、日本人では最終的に財産を差し押えられたり逮捕される場合もある。公平性の観点から近年は逃げ得を許さない考え方が根強く、比較的軽微な違反に基づく反則金の未払いでも、無視していると逮捕されたりするのだ。
それが外交官であれば、訴追されたり拘束されない不逮捕特権があるため、逃げ得が許されることもあり得る。
また、車両の安全性で心配なのは、外交官ナンバーの車両が車検制度の対象に含まれないことだ。外交官ナンバーの車両を見ると、メルセデス・ベンツやBMWなどのプレミアムブランドが目立つが、国によっては老朽化した古い日本車を使っている。まれにだが、現役で走っていることが不思議に思える車両も見かける。
多くの外交官は、逮捕されない立場だからこそ、良識のある行動を心掛けていると思う。しかし万が一、そうでない外交官がいた場合、日本人や一般の外国人であれば罰せられるのに外交官だから守られる、その違いは依然として残っているようだ。
コメント