趣里が主演を務める「モンスター」(毎週月曜夜10:00-10:54、フジテレビ系/FOD/TVerにて配信)。10月28日放送の第3話は、センシティブで現代的な問題がテーマに。そのなかで、亮子(趣里)は弁護士としては型破りながら、鮮やかな手腕をまたも見せるとともに、杉浦(ジェシー)がその手腕を絶妙な切り口で表現した。(以下、ネタバレを含みます)
【写真】まとめ髪&メガネ&浴衣でいつもと違う雰囲気の亮子(趣里)
■異色のリーガル・エンターテインメント
本作は、“常識”にとらわれず、“感情を排除”して相手と向き合う得体のしれないモンスター弁護士・神波亮子(趣里)が主人公。時に法が追いついていない令和ならではのさまざまな問題と向き合い、まるでゲームのように法廷闘争に立ち向かう、異色のリーガル・エンターテインメントだ。
物語の本質を見抜き、独自の解釈のもと裁判を掻き回す型破りな“モンスター”だからこそ、人間が訳もなく悪意に満ちてしまう、“モンスター”になる瞬間を見逃さず、冷静に事件を解決に導き、周囲の価値観を覆しながら影響を与えていく。
亮子に振り回されることになる東大法学部卒の若手弁護士・杉浦義弘をジェシー(SixTONES)、失踪中の亮子の父・粒来春明を古田新太、亮子と杉浦が所属する法律事務所の所長・大草圭子をYOUが演じる。
■匿名での精子提供と不妊治療の裏に潜む秘密
世間から注目されて、たくさんの依頼がくるようになったのをあえて避けるため指名料5万円に設定した亮子。第3話で、その指名料をものともせず亮子に依頼したのは、日本有数の企業である五条グループの跡取り息子・和彦(渋谷謙人)と、その妻・亜佐美(佐津川愛美)だ。
亜佐美は妊娠中だが、和彦が無精子症であることから、和彦と同じ東大卒という条件の元で“健太”という人物から匿名で精子提供を受けていた。ところが、健太の経歴はうそで、健太は別の女性から訴えを起こされた。このことから見れば、和彦たちも健太を訴えるのかと思いきや、亮子に健太の弁護を依頼。「五条の名前がネガティブなことで表に出るようなことがあってはならない」と言う和彦は、自分たちのことが世間はおろか親族にも明るみにならないために、女性の訴えを示談にすることを願っていた。
亮子は引き受けることしたものの、「杉浦先生にちょうどいいと思ったから」と杉浦に任せるとした。
さっそく杉浦は健太こと斉藤文哉(佐藤寛太)に会うが、彼は示談を拒否。杉浦は亮子に助けを求めた。実はそのころ、亮子は斉藤を訴えた相手である長岡茉由(吉本実憂)について調べようとしていた。
■杉浦が亮子にツッコみ、「弁護士になる前は…」
今回の物語には、いくつもの複雑な事情が絡み合っていた。その絡み合った糸を解きほぐすきっかけは、亮子の「訳わかんない依頼に対して、まっとうにやるほうが訳わかんないわ」という精神だ。
茉由の弁護士に会った亮子は、焦点の東大卒という経歴に対して、斉藤が都内の大学卒業だから東京(の)大学卒と主張したのに始まり、学歴の高さと年収の高さの関係について相手弁護士と応酬。そこにさまざまなデータを上乗せして相手弁護士に「ばかばかしい」と言わせるほどだった。
学歴は五条のこだわりでもある。ただ、今回は五条というエリート意識のプライドの高い“モンスター”の裏で、亜佐美と茉由の心の中に潜んでいた“モンスター”があぶりだされていった。亜佐美の妊娠は、亡き元恋人が凍結保存していた精子を使用していた。元恋人は売れない画家で、結婚は考えられずに別れ、家柄のいい人と結婚したが、子どもはできない。そんななかで都合よく元恋人と結ばれる運命だったと思っていたのだ。一方の茉由は、精子提供者である斉藤に恋愛感情があったが、夫に疑われて、斉藤を訴えたのだった。
不妊治療、精子提供という現代ならではの問題に切り込みつつ、愛情という普遍的なことにも一石を投じたストーリー展開。「感情はあいまいで形のないものだから証明はできない」。そう言っていた亮子だが、茉由と斉藤の裁判で、茉由の夫婦関係の闇に迫った。守ろうとした夫婦関係の価値は、これからの食べるに困らない生活力という安心だけだったのではないかと。それは、和彦に言われてその裁判を傍聴していた亜佐美の心にも突き刺さるものだった。
茉由を追い詰める亮子に、思わず「やめてくれ」と叫んだ斉藤。すると裁判長と同時に亮子が「被告は静粛に!口を出すところじゃない!」と制止した。だが斉藤は「これ以上、茉由さんを責めるならクビ」と宣言。そこで茉由はたまらず「ごめんなさい…」と涙し、「斉藤さんに会いたいから会っていました」と証言した。
見事に恋愛感情を証明してみせた亮子は、その後、杉浦に裁判で芝居をしていたことを明かした。「どっからどこまで?」と驚く杉浦に、「斉藤さんのせりふ、全部」と亮子。ただ、クビを宣言するところは本気になってしまったため、亮子が制したのだった。
杉浦の「弁護士になる前、女優だった?」というツッコミは、亮子の型破りながら鮮やかな手腕を表しつつ、視聴者側からすれば前回の「アイドルだった?」に続いてクスっと笑えるものでもあった。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
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