ハンバーガーは通常、米国で考案されたとされる。パンにはさむ肉はもともと、独立したハンバーグステーキだった。米国のドイツ系移民が「ふるさとの味」として食べ、19世紀ごろにパンにはさむ食べ方が発生したとされる。ハンバーグステーキの起源をさらにたどれば、タルタルステーキという料理で、その起源については「かつてのモンゴルの騎兵は何匹もの馬を連れて出征した。乗りつぶした馬の肉は硬すぎるので、皮袋に詰めて次に乗る馬の鞍の下に押し込んだ。長時間乗馬したことでひき肉状になった肉を生で食べた」という、いささか「眉唾な説」もある。
タルタルステーキの起源はともかく、ハンバーガーが米国で発生したことは定説とされている。しかし、中国メディアの環球時報によると、スペイン紙「20ミヌートス」(電子版)はこのほど、「世界初のハンバーガーは2000年前の中国で発生」とする解説記事を発表した。その「説」は以下の通りだ。
中国式ハンバーガーが発生したのは中国の陝西省の省都である西安で、2000年以上前に登場したとされる。中国での名称は肉夾モー(ロウジアモー、「モー」は食へんに「莫」)で、「夾」は「はさむ」であり、「モー」はパン類を意味する方言で、要するに「肉はさみパン」ということだ。
中国式ハンバーガーの外観は、我々がよく見るハンバーガーとは違い、肉を詰めたピタ(中東や地中海で食べられる中空の小麦パン)のように思えるかもしれない。しかし中国人にとって肉夾モーはハンバーガーにほかならない。肉夾モーは2015年に、5期目の陝西省無形文化遺産に指定された。つまり、現地で確固たる地位が公式に認められた、「重要な特色ある料理」だ。
世界初のハンバーガーの餡(具材)は、数千年前の周時代に出現していた臘汁肉(ラージーロウ)と呼ばれる煮込み肉だ。肉夾モーに使われる「バンズ」は白吉モー(バイジーモー、「モー」は肉夾モーの「モー」と同じ)と呼ばれ、紀元前221年から同206年まで中国を統一支配した秦の都だった陝西省咸陽で発生したと伝えられる。白吉モーは小麦の生地を土窯で焼いて作るやや平たいパンで、蒸して作る場合もある。
肉夾モーの餡の臘汁肉は、豚肉を酒、醤油、香辛料を使ってばらばらにほぐれるまで煮込み、最後に小さく切ったピーマンを入れる。このことで、野菜のシャクシャクとした食感が加わる。好みで香菜(パクチー)を加える人もいる。
臘汁肉の煮汁には前回の調理で残ったものに必要な分の調味料を追加することで、繰り返して使う。この「継ぎ足し」方式は、中国料理の伝統的な技法の一つで、月日の経過とともに煮汁の風味がよくなっていく効果がある。肉夾モーは自宅でも作ることができる。食材はいずれも(スペインの)スーパーで入手することができる。(翻訳・編集/如月隼人)
コメント