働き方改革関連法が施行されてから5年が過ぎた。企業・個人の意識改革が進み、日本の平均残業時間が年々減っている。オープンワークがまとめた「10年間で最も残業時間を減らした企業」ランキングを基に、その理由について社員のクチコミを見ながら探っていく。(ダイヤモンド・ライフ編集部 大根田康介)

働き方改革関連法から5年
残業時間は年々減少傾向

 2019年4月に働き方改革関連法が施行され、今年で5年がたった。

 この法律の柱である「残業時間の上限規制」は、大企業を皮切りに段階的に導入され、今年4月には医師、建設業、自動車運転業にも適用された。

 国の指導や企業および個人の意識変化が重なり、残業時間は年々減少傾向にある。

 今回、オープンワークはOpenWorkに投稿された各企業の残業時間推移に注目。15年と24年(1~9月)の平均残業時間を比較し、「10年間で最も残業時間を減らした企業」のランキングを作成した。

 近年、働き方改革のみならずコロナ禍を契機とした世界的な働き方の変化により、残業時間を大幅に削減した企業にはどのような特徴が見られるのか、OpenWorkに投稿された社員のクチコミと併せて検証する。

10年間で最も残業時間を減らした意外な企業

コンサルティング会社が
トップ10の半数を占める

「10年間で最も残業時間を減らした企業ランキング」では、1位船井総研、2位フューチャー、3位デロイト トーマツ コンサルティング、4位博報堂プロダクツ、5位大樹生命保険となった。上位3社がコンサルティング会社だった。

 激務のイメージがあるコンサルティング会社に共通するのは、もともと残業時間が長い点だ。船井総研およびフューチャーにおける15年の平均残業時間は月100時間を超えていたが、いずれも10年間で70時間以上削減している。

 上位のコンサルティング会社のクチコミを見てみよう。

クライアントワークのため、お客様に合わせて動かざるを得ない点で調整はしにくいと考える。チームリーダー以上になれば自分でスケジュールを決められるため、多少は調整しやすいと思う。独り立ちしていない社員は、先輩の都合に合わせて動くためスケジュールを調整しにくい」(経営コンサルタント、女性、船井総研)

 クチコミでは、クライアントやプロジェクトの内容によってワーク・ライフ・バランスが大きく左右される中、企業として長時間労働の是正に取り組んでいることや、個人の裁量で労働時間を調整可能であることが示されている。

リモートで働きやすい半面
「長時間労働につながる」指摘も

 コロナ禍で人々の行動が制限され、働き方の見直しが進められた。多くの企業でリモートワークやフレックスタイムの導入が推進された。

 個人の裁量で業務時間を調整できるようになった結果、不必要な残業が減少し、プライベートとの両立がしやすくなったことが、ランクイン企業のクチコミからも分かる。

「昨今では、リモート業務のスタイルが定着して、過度な残業などはかなり減っている。休日等の作業や業務もあることはあるが、かつてほど長時間労働の常態化はなくなってきている」(営業、男性、博報堂

 リモートワークにより働きやすさが向上した半面、プライベートとの境界があいまいになり、いつでも働ける環境が長時間労働につながるという指摘も散見された。またコミュニケーションや管理・評価における課題から、リモートワークを廃止する企業も増えつつある。

 コロナ禍で生まれた新たな働き方が今後どのように変化し、定着していくかが注目される。