2024年1-10月「飲食業の倒産動向」調査
コロナ禍の支援策で抑制されていた飲食業の倒産が増勢を強めている。2024年1-10月の飲食業の倒産(負債1,000万円以上)が820件(前年同期比12.7%増、前年同期727件)に達した。1-10月累計は2020年同期の730件を抜き、過去最多を更新した。現在のペースで推移すると、年間で初めて1,000件超えの可能性も出てきた。
業種別では、ラーメン屋や焼肉店等を含む「専門料理店」が202件(前年同期比17.4%増)、「酒場、ビヤホール」は156件(同13.8%増)と、いずれも1-10月累計では最多を記録した。
飲食業倒産は、「バー,キャバレー,ナイトクラブ」(前年同期比84.6%増)、「そば・うどん店」(同50.0%増)で増加率が大きい。特に、「酒場,ビヤホール」、「バー,キャバレー,ナイトクラブ」など、酒類提供を中心にした業態は228件(同29.5%増)と増加ぶりが際立つ。
「新型コロナウイルス」関連倒産は385件(同16.6%減)で、飲食業倒産に占める割合は46.9%(前年同期63.5%)とコロナ禍の影響は収まりつつある。しかし、物価高倒産は49件(前年同期比4.2%増)と最多を更新した。
コロナ禍の収束で人流や客足が戻り、飲食業の集客や売上は回復している。だが、コロナ禍の持続化給付金やゼロゼロ融資などの支援効果が薄れる一方、物価高、光熱費などエネルギー価格の上昇、人件費高騰が収益を圧迫している。さらに、深刻な人手不足はオペレーションなど店舗運営に支障が出るケースもあり、参入障壁の低い飲食業界の淘汰はしばらく進みそうだ。
※ 本調査は、日本産業分類の「飲食業」(「食堂,レストラン」「専門料理店」「そば・うどん店」「すし店」「酒場,ビヤホール」「バー,キャバレー,ナイトクラブ」「喫茶店」「その他の飲食店」「持ち帰り飲食サービス業」「宅配飲食サービス業」)の2024年1-10月の倒産(負債1,000万円以上)を集計、分析した。
1‐10月の飲食業倒産820件、同期の過去最多を更新
2024年1-10月の飲食業倒産は820件(前年同期比12.7%増)で、 1-10月の過去最多を更新した。
コロナ禍の資金繰り支援で、飲食業の倒産は大幅に抑制されていた。だが、コロナ禍が収束するに伴い支援策が縮小・終了し、2023年から様相が一変した。
2024年はインバウンド需要の復活や経済活動の活発化などにより、来店客は急速に戻ってきた。だが、円安の進行で食材やエネルギー価格が高騰したほか、深刻な人手不足で飲食業は苦境に直面している。人手不足や物価高が長引き、2024年の飲食業倒産は初めて1,000件台の可能性も出てきた。
業種別 「バー,キャバレー,ナイトクラブ」、「そば・うどん店」が急増
業種別の最多は「専門料理店」の202件(前年同期比17.4%増)だった。以下、「食堂、レストラン」の188件(同8.0%増)、「酒場、ビヤホール」の156件(同13.8%増)と続く。
増加率の最大は、「バー,キャバレー,ナイトクラブ」の前年同期比84.6%増(39→72件)だった。次いで、「そば・うどん店」の同50.0%増(10→15件)、「すし店」の同33.3%増(18→24件)の順。
飲食業の人手不足関連倒産43件のうち、7件(構成比16.2%)は「宅配飲食サービス業」で、配達スタッフの確保も課題になっている。
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