環境対策などを理由に制限速度の変更が進む
日本の首都高速などは渋滞がひどく、いつも混んでいる印象です。それはドイツも同様のようで、主要な道路はつねに渋滞しているようです。そんななか、環境対策も兼ねて制限速度が引き下げられたようなのですが、はたしてその効果は?
主要道路での制限速度引き下げは逆効果?
私は毎年ル・マン24時間レースの取材に行く際、必ずフランス・パリの環状線道路を利用するのですが、制限速度が70km/hから50km/hに引き下げられたことがニュースになりました。日中は新規制の50km/hさえ出せないほどに混んでいますので、意味があるのかな? と思いましたが……。
同様に、私が住むミュンヘンにも市内を囲むような環状線道路(Mittlerer Ring)があります。東京の首都高速のような感じの道路なのですが、早朝から19時頃まではいつも非常に混んでいます。一応、大半の箇所で50~60km/h規制となっていますが、10~20km/hの超ノロノロ運転なのが日常という感じです。とくに私が住むエリアは混雑が酷い地点で、合流と出口が混在する複雑な道路で事故も多発します。
そんななか、2024年6月からミュンヘンの幹線道路の一部の区間の制限速度が50km/hから30km/hに変更となりました。夜間や早朝以外には非常に混んでいる区間で、普段から超ノロノロなのが、さらに流れが悪くなり渋滞は悪化しています。
この区間はEUの制定する二酸化窒素などの有害な汚染物資の基準を超えているという理由から速度制限を変更したらしいのですが、渋滞がさらに悪化しては元も子もないですよね。しかも、20km/hも制限速度を減らしてからの大気汚染の検査では、それらの有害物質の濃度はほとんど変化がなかったという結果が出ているそうで、なんとも無意味な渋滞です。
そして、この30km/h制限区間にも数台のオービスがあり、オービスの手前で必ずと言っていいほどにブレーキを踏みますので、さらに詰まります。このミュンヘン市をぐるりと囲む環状道路は、近隣国へ行くアウトバーンの入り口にも繋がっており、なくてはならない大切な生活道路でもあるのですが……。
ミュンヘン市のこの環状道路の内側(山手線の内側のような感覚でしょうか)には、2023年1月からは住民や配送車両以外のディーゼル車が乗り入れ禁止となりました。ドイツでは車両登記をする際に排ガス規制のステッカーを渡されて、フロントガラスの右側下に貼る必要があります。これは排ガスから排出される有害物質の種類や量によって色ごとに識別されており、黄・赤やステッカーなしの車両が、このミュンヘンの禁止ゾーンに進入すると、100ユーロ+手数料という罰金の対象となります。
「Umweltzone(ウムヴェルトツォーネ=環境ゾーン)」と記載された看板の下に、どの色のステッカーの車両が進入可能か記されています。旧車やバイクの方は例外で、この対象にはなりません。また、医療品搬送や救急・消防などの車両、介護・介助車両などは対象外となりますので、乗り入れは可能です。しかし、外国ナンバーの車両は、ドイツナンバーのクルマと同様に厳守しなければなりません。
異国の地で走行中に看板の記載事項を読むのは難しい
私自身も経験があるのですが、たとえ日本語であってもこのような文字看板を走行しながら瞬時に理解するというのは非常に厳しいですよね。前に視線を集中していますので、看板は見過ごしてしまいがちです。
例えば、外国を旅行で運転していて、もしも少し停車できる場所があってグーグル翻訳等で調べる時間があったとしても、なかなか旅先では厳しい条件だと思います。案の定、私はイタリアで数年前にナビが指示した通りに走って、看板に記載されていただろう住民以外進入禁止を気にも留めていなかっただけに、後に高い罰金のお手紙が届いたことは言うまでもありません。
私が通っている近所の美容院の美容師がイタリア人女性で、その件で私がしょげていると、「イタリア人でイタリア語が理解できても、地元以外の場所ではよっぽど看板をじーっと見ない限りは見逃してしまうよ」と言われてちょっとホッとはしましたが、それでも悔しい!
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