全国各地で強盗の実行役となる「闇バイト」に関する事件が相次ぐ中、アルバイト求人募集アプリ「タイミー」に闇バイトと思われるような求人が掲載されているという指摘がSNSに投稿された。

この求人は11月8日午前までは掲載されていたが、現在は削除されている。

タイミーの運営会社は同日、弁護士ドットコムニュースの取材に対して「不適切である疑いのある求人という認識をし、検知して差し止めています」と回答した。

●「情報漏洩防止の為、携帯電話を預かります」

"闇バイトではないか"という疑惑を持たれたのは、「深夜の散歩が好きな方必見!夜道で猫を探すバイト」。11月9日から11月14日の期間、深夜1時30分から4時40分までの作業として募集されていた。

報酬は「7500円」で、業務内容は「指定された道を通り、猫がいたところを地図上で印をつけるだけです!」というもの。

情報漏洩防止の為、携帯電話や荷物を預かります。その為できるだけ軽い荷物で来るようにお願いします」「作業時間、ご自身で管理していただくのは財布と筆記用具のみになります」などとあった。

また、注意事項として「動きやすい服装でお願いします。なるべく地味めな格好でお願いします」とあった。持ち物は、ボールペンメモ帳のみで、働くための条件には「指示やお願いに素直に行動できる方」と記されていた。

働く場所として、東京都内の住所が具体的に掲載されていた。

この募集に対して、X上で「闇バイトの募集ではないか」という声が多く上がった。また、ここで言う「猫」とは、高級車や防犯カメラを指す隠語ではないかといった推測まで飛び交い、注目を集めている。

●「闇バイトかどうかの断定はできかねる」

弁護士ドットコムニュース編集部が、タイミーの運営会社に対して、この求人が「闇バイト」であるのか取材したところ、「弊社としましても『不適切である疑いのある求人』と認識をし、検知して差し止めています。闇バイトかどうかの断定はできかねます」との回答を得た。

また、こうした闇バイトであると疑われるような求人にはどう対応しているかについて、同社は次のように回答した。

「タイミーでは、募集原稿のチェックによる適法性の担保、不適切な求人の検知をおこなっております。業務開始時間までに、募集原稿の全件を目視および機械的仕組みを組み合わせてチェックしています。

『不適切な求人』を発見次第すみやかに差し止めなどの対応をおこなっています。

・男女雇用機会均等法
・禁止業務(建設・港湾)
闇バイト等の不適切な可能性のある募集

など闇バイト等の不適切な可能性のある募集が確認された際に、警察と労働局へ都度報告するなど連携をしています」

●募集会社は企業審査強化前に登録

今回、闇バイトが疑われている求人を出していた会社と同名の会社に弁護士ドットコムニュースが確認したところ、この会社は「そうしたバイトは募集したことはありません」と否定した。求人を出していた会社が実在するのかは確認できなかった。

タイミーに、猫を探す求人をしていた会社について聞いたところ、「個社の事情についての回答は、職安法上の規定がございますため、回答は差し控えさせていただきます」とした。

また、猫を探す求人をしていた会社がどのような経緯でタイミーに掲載されたかについて、タイミーは次のように回答した。

「タイミーでは、昨今の社会情勢を踏まえ、安心安全対策を継続的に強化しています。タイミーの利用事業者の実態確認や審査を実施しています。

・営業担当者による商談実施
・WEB開設流入経路の事業者の必要書類の提出
・審査
・法人印鑑証明書、開業届、納税証明書等
・反社チェック等

本事案につきましては、企業審査を強化する前に登録されていたため募集を掲載されておりましたが、前述した募集原稿の全件チェックにて、稼働前に未然に防ぐことはできた。という状況になります。

現在は、企業審査をさらに強化しているので、より安全性が高まっております。引き続き安心安全な環境づくりに取り組んでまいります」

タイミーに「闇バイト」の求人掲載か、「夜道で猫を探すバイト」SNSで疑惑指摘…募集会社の正体は?