オーストラリアで2021年5月、拒食症に悩む当時22歳の女性が命を絶った。このほど開かれた検死審問で女性の父親は、拒食症で苦しむ娘に看護師が「痩せる秘訣は何?」と減量のアドバイスを求めたという衝撃的な事実を明かした。英ニュースメディア『The Mirror』などが報じた。

オーストラリア、南オーストラリア州アデレード出身のジェニファー・ミシェル・マターズさん(Jennifer Michelle Matters)は、拒食症と2年間闘病した末、22歳という若さで2021年5月に自死した。ジェニファーさんは死の直前、拒食症との闘いに「限界を感じた」と家族に伝えていた。

現地時間10月21日に開かれた検死審問では、ジェニファーさんの父親ショーン・マターズさん(Shaun Matters)によって、娘が自死するまでの経緯が語られた。ジェニファーさんは生物医学を学ぶ看護学部の卒業生で、遺体が発見された時、体重はわずか65ポンド(約29.5キロ)だったとショーンさんは明かしている。

ジェニファーさんは衰弱性精神疾患と診断されたのち、「フリンダース医療センター(Flinders Medical Centre)」に頻繁に入院した。ショーンさんは、信頼すべき医療従事者が無神経な発言をしたと主張しており、検死審問では次のように述べた。

「ある日のこと、看護師ジェニファーに『あなたはとてもスリムなのね』と軽率な発言をしたのです。スリムは褒め言葉であり、痩せている状態から抜け出さなければならない拒食症の患者に対して使うべき言葉ではありません。また、別の看護師は『痩せるための秘訣は何?』とダイエットの秘訣を聞いてきたのです。」

ショーンさんは、同医療センターのスタッフが拒食症に苦しむ患者に対して冷淡な対応をしている場面をたびたび見かけたと主張している。また、彼は「『拒食症患者がいなくなれば、他の病気で悩む人たちのためのスペースが確保される』という感覚をスタッフが持っているように感じた」とも述べている。信じられないことにショーンさんは、看護師ジェニファーさんのことを「隅っこで食べるのを見守る必要がある拒食症患者」と呼んでいるのを聞いたという。

今回の検死審問で、ジェニファーさんは自分の死が「この国(オーストラリア)の摂食障害の治療に関するシステム改革」につながり、「せめて一人でも他の誰かの助けになれば」と願っていたことが明らかとなった。ショーンさんは「娘は思いやり深く、ただ人々を助けたいと願っていた」と語っている。

画像は『The Daily Guardian 「Nurses Asks For ‘Skinny Tips’ From 22-Year-Old with Eating Disorder Just Before Her Death」』『The Mirror 「Nurses asked anorexic woman ‘what’s your secret to staying skinny?’ just before she died」(Image: Ten News)』より
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)

海外セレブ・芸能のオンリーワンニュースならテックインサイト