雲南省・騰衝市にあるホテルが日本人の利用を拒否したことで、営業を一時停止する事態になった。ネットで「絶賛の嵐」が吹き荒れ、花などを送る人が続出して、ロビーが埋まってしまったからだ。中国メディアの中華網が伝えた。
騒ぎがあったのは6日だった。中国人女性が日本人を連れてチェックインしようとしたところ、ホテルの担当者は「騰衝市では日本人は一切受け入れていない」などとして宿泊を拒否した。女性が抗議すると、担当者は警報を鳴らして「出て行け」と言った。
同件が報じられると、中国人ネットユーザーは次々に、「民族主義を支持するわけではないが、日本に対しては何をしてもやりすぎということはない」「日本人はなぜ嫌われるか反省しなさい」「南京も見習うべき」などとコメントを寄せた。
そして多くのユーザーがホテル側の「気骨」を評価して、同ホテルの宿泊を予約をした。しかし多くは宿泊するつもりがなく、ホテルへの「賛意」を示したかっただけと見られえる。実際にホテルに現れた人はほとんどいない。また、ホテルに花その他のプレゼントを送りつける人が続出した。
その結果、ホテルのロビーは花その他の品物で埋め尽くされ、「見通しがきかない」状態になった。ホテルは臨時休業を余儀なくされた。
現地の騰衝市は、第二次世界大戦中の「拉孟・騰越の戦い(らもう・とうえつのたたかい)」の舞台として知られる。同戦いでは日本軍約5000人と中華民国と米国の連合軍の約7万人が戦った。日本軍は玉砕(全員戦死)したが、連合軍側は中国軍を中心に、日本軍をはるかに上回る約1万3000人が戦死し、約1万4000人が負傷したとされる。
中華網記事は、大きな波紋が生じたことで観光サービスでの文化関連の敏感さとビジネスの原則について深く考えさせられると評した。一部業界専門家からは「グローバル化が進む現在、現地の感情と国際的なビジネスのスタンダードの間のバランスをいかに見出すかは、それぞれの観光業者が深く考えねばならない問題だ」との声が出ているという。(翻訳・編集/如月隼人)
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