この記事をまとめると
■アルファロメオ・ティーポ33はレースシーンのみならず派生モデルでも名を残した
■ストリートバージョンの33ストラダーレベースのコンセプトカーをピックアップ
アルファロメオを語るうえでティーポ33シリーズは欠かせない
1965年から1967年にかけて5台のみが生産されたレーシングカー、「ティーポ33」。そしてここから進化を遂げていった一連の同シリーズは、アルファロメオのレーシングヒストリーを語るうえでは欠かすことのできない存在だ。
最初に完成されたティーポ33には、当初TZ2からそのままミッドに移植された1570cc直列4気筒エンジンが搭載されていたが、ワークスチームのアウトデルタは、車両のデリバリーを受けるとそれをすぐに1995cc仕様のV型8気筒エンジンへと変更。1967年にベルギーのフレロンで開催されたヒルクライムレースでそれを優勝に導くものの、世界スポーツカー選手権では戦闘力不足からニュルブルクリンク1000kmレースでの5位が最高成績として残されたのみだった。
そのような状況を打開するために、アウトデルタが1968年シーズン用モデルとして開発したのが、ティーポ33の改良型である「ティーポ33/2」である。ティーポ33/2は、アウトデルタの予想どおり、そのパフォーマンスを大幅に高め、数多くのレースで魅力的なリザルトを獲得。
同年には合計28台のティーポ33/2が製作されたとされるが、1967年から1969年にかけては、18台のロードゴーイングモデル、「33ストラダーレ」も生産された。フランコ・スカリオーネによる流麗なボディデザイン、カロッツェリア・マラッツィによるコーチビルド、そしてもちろんアウトデルタの技術力をフルに導入して誕生した33ストラダーレが世界初公開されたのは、1967年のパリサロンでのこと。その衝撃はあまりにも大きかった。
33ストラダーレは、レーシングバージョンのティーポ33/2をベースに、ボディパネルをFRPからアルミニウム製に、さらに搭載されるV型8気筒エンジンを270馬力から230馬力にデチューンし、ホイールベースを100mm延長するなど、オンロード向けにさまざまな改良が行われていた。それでも0-100km/h加速は6秒以下で、また最高速は260km/hを公称していたのだから、いかにそれが高性能なオンロードカーであったのかは想像に難くない。
33ストラダーレから派生したコンセプトカーたち
そして、33ストラダーレの面白さは、ここからさまざまなコンセプトカーが派生していったことにある。
最初に発表されたのは、1968年のパリサロンでお披露目されたベルトーネの「アルファロメオ・カラボ」で、その後、同年のトリノショーではピニンファリーナの「アルファロメオP33ロードスター」が、1969年のトリノショーにおいてはイタルデザインから「アルファロメオ・イグアナ」がデビューを飾っている。
さらに同年のパリサロンにはピニンファリーナの「アルファロメオ33/2クーペ・スペチアーレ」、1971年のブリュッセル・モーターショーではまたもやピニンファリーナの「アルファロメオP33キュネオ」、そして最後に誕生したのが、1976年のジュネーブショーで発表された、カラボと同様にマルチェロ・ガンディーニをチーフデザイナーに抜擢したベルトーネの「アルファロメオ・ナバホ」だった。
全長×全幅×全高で3800×1860×1050mmというサイズをもつナバホのエクステリアデザインは、当時流行の最前線にあったウエッジシェイプのコンセプトを採り入れたじつに斬新なフィニッシュを見せていた。
フロントにはヘッドライトが装備されていないかのようにも思われるが、じつはそれはフロントフェンダー部に内蔵されており、点灯時には横方向にライトが露出する仕組みとなっている。
シャープなライン構成や、リヤホイールを覆うハーフカバーなどにはガンディーニの作らしい特徴が表れている。さらに、リヤにはエンジンルームを覆う巨大なリヤウイングも装備される。ボディ素材はフルファイバーグラスで、結果ナバホの車重は870kgに抑えられている。
ミッドに搭載されるエンジンは、スピカ製のフューエルインジェクションが組み合わされる1995ccの2リッターV型8気筒で、最高出力は233馬力/8800rpm。インテリアもエクステリアと同様に、未来的な感覚とラグジュアリーな印象が共存する。
また、このナバホは、33ストラダーレと比較してホイールベースがさらに100mm長く(つまり33/2に対しては200mm長い)、室内の居住性も十分に考慮されているのが特長だ。
レーシングカーからロードモデルへの転用。そしてイタリアンカロッツェリアの全盛期を象徴するかのようなさまざまな派生モデルの誕生。アルファロメオ・ティーポ33というモデルには、まだまださまざまなストーリーが隠されているのだが、それらの話はまた別の機会に譲ることにしようと思う。
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