インド北部ウッタル・プラデーシュ州の寺院で撮影され、SNSで共有された動画が物議を醸している。動画には、信者たちが“聖なる水”を飲むために列を作る様子が映っている。実はこの動画をきっかけに、驚くべき事実が明らかになった。インドのニュースメディア『Times of India』などが伝えた。
問題の寺院は、ウッタル・プラデーシュ州ヴリンダーヴァンにある「シュリー・バンケ・ビハリ(Shri Banke Bihari)」で、動画では象の壁面彫刻から流れる“聖なる水”を飲むために、信者たちが列を作っている。
ところがSNSで暴露されたのは、「信者たちは、この水をヒンドゥー教のクリシュナ神の足元から流れ出る聖水『チャラン・アムリット』だと信じているが、実際にはエアコンからの結露水に過ぎない」という驚くべき事実であった。
エアコンの結露水とは、室内の水蒸気が凝結して液体となり、配管を通って室外に排出されたもので、医療専門家であるXユーザー「The Liver Doc、以下TLD」は動画にすぐさま反応し、次のように警告した。
「エアコンや空調設備は、感染症を引き起こす細菌や真菌(カビ)などの病原体が繁殖する場所になりやすい。人々がエアコンの結露水に晒されると、レジオネラ属菌による細菌感染症であるレジオネラ症を発症するリスクがある。」
さらにTLDは、「エアコンの配管などに使われている銅やアルミニウムなどが結露水に混じる可能性があり、飲むと危険だ」「結露水を浴びるだけでも、皮膚を刺激したりアレルギー反応を起こすことがある」とも指摘した。
動画が拡散されたことを受けて、同寺院の奉仕人(セーワク・sevak)であるディネシュ・ゴスワミ氏(Dinesh Goswami)は、「我々は人々の神への信仰を尊重する」と述べつつも、「彼らがチャラン・アムリットと信じている水は、エアコンからの結露水に過ぎない」と明らかにした。そして本物のチャラン・アムリットには、カミメボウキ(ヒンディー語でトゥルシー)やバラの花びらの成分が含まれていることを指摘し、「我々はこの事実を信者たちに知らせる必要がある」と語った。また、別の奉仕人モハン・ゴスワミ氏(Mohan Goswami)も信者に対して注意を促し、「水を飲まないように」と警告したが、信者たちは寺院の対応に対して、怒りや失望を示した。
信者であるケシャブ・デヴさん(Keshav Dev)は、「我々は深い信仰を持ってここに来ているのに、このニュースには大変ショックを受けた」と述べ、信者が水を飲まないよう、寺院に迅速な対応を求めた。また、信者の多くは寺院が事実を隠していたと感じ、憤りを示した。カンハさん(Kanha)は「ガンジス川の水は聖水と考えている。しかし、エアコンの結露水は安全ではないだろう」と述べた。
しかし、このニュースが伝えられると次のような厳しいコメントが寄せられた。
「宗教は人類の最も危険な発明だよ。」
「寺院に責任があるね。」
「信じられない。これは迷信と無知が引き起こしたものだ。」
「誰も立ち止まって『この水の正体は何だろう』と考えなかったのだろうか。これぞ群集心理というものだろう。」
「エアコンの結露水と聖水の区別がつかなかったなんて!」
なお、細菌の中でも致死率98%と言われるのは、アメーバの一種「ネグレリア・フォーレリ(別名フォーラーネグレリア)」による感染症で、2023年には米ネバダ州の天然温泉で遊んでいた2歳児が感染し、命を落とした。
画像は『ZORO X「Serious education is needed 100%」』より
(TechinsightJapan編集部 A.C.)
コメント