「BYDが出展したら……」 いまバス業界は中国メーカーの動向に戦々恐々!

この記事をまとめると

■2024年10月18日(金)に「第10回バステクin首都圏」が開催された

■参加者はとくにBYD製のBEVバス「J6」に興味を示していた

■多数のBYDオート・ジャパン関係者も様子をうかがいに会場に足を運んでいたようだ

「バステクin首都圏」の目玉は中国製BEVバスの展示

 2024年10月18日(金)に株式会社ぽると出版主催、国土交通省関東運輸局後援、公益社団法人日本バス協会と関東地区バス保安対策協議会協賛にて、「第10回バステクin首都圏」が、東京都内海の森水上競技場にて開催された。

 バスメーカーやバス事業者、用品関連企業など、バス関連業界向けに最新バス車両の展示や試乗、用品ブースが設けられ、おもに業界内の交流イベントとして、春には関西地域で「バステクフォーラム」が、秋には関東地域で「バステクin首都圏」が毎年開催されている。

BYDはいまやバス業界でも注目の的となっていた

 近年はおもに中国メーカー製となるが、最新BEV(バッテリー電気自動車)バスの展示や、運転及び客席試乗が目玉イベントともなっている。BEVバスの試乗が始まったころは「物珍しさ」が優先していたが、いまでは実際に導入を検討している事業者が比較検討することができるとして好評を博しているとも聞いている。

 今回、会場をザワつかせたのが、「バステクフォーラム」及び「バステクin首都圏」に初登場となる、中国BYDオート(比亜迪汽車)製バス(小型BEV路線バス『J6』)が会場内に展示されていたことである。「BYDは販売戦略上なのかは定かではないですが、いままで展示会に参加して車両展示をするようなことはしておりませんでした。そのなか、BYDのBEVバスが展示されていたことに会場内はザワつきました」と事情通。一部では、最新モデルを展示したほかのBEVバス関係者も、BYDバスを見て渋い顔をしていたとの情報も得ている。

BYDはいまやバス業界でも注目の的となっていた

 しかし今回は、BYDの日本法人であるBYDオート・ジャパン自体がバステクin首都圏に出展していたわけではない。「機器・用品・システムとして合同出展していた、『レゾナントシステムズ』と『ジャパントゥエンティワン』が自社製品を装着した車両として、『中日臨海バス株式会社』が保有している車両を借りてきて展示していたのです」(事情通)。

 とはいっても、BYDバスが初めて展示されたことには変わりない。会場には多数のBYDオート・ジャパン関係者も様子をうかがいに足を運んでいたとの情報も得ている。

BYD関係者は来年に向けて現状視察?

 かねがね試乗なのか展示なのかにかかわらず、会場では「なぜBYDがいないんだ」という声はよく聞いていた。アルファバスジャパン、オノエンジニアリングなどが扱う中国系BEVバスのほか、アルテック(トルコ製BEVカルサンバス)やヒョンデ・モビリティジャパンなど、中国以外の国々のBEVバスはいままでも試乗あるいは展示されていた(ヒョンデは今回展示のみ)。

BYDはいまやバス業界でも注目の的となっていた

 乗用車でも購入候補をまとめて試乗する機会などはなかなかないのに、それがバスともなれば車体が大きいこともあって比較試乗する機会などはまずない。そこで、BEVバスを購入検討している事業者としては、比較試乗できる貴重な場としてバステクイベントが重要視している。

 客席試乗だけであったとしても、意外なほどメーカーごとの個性を知ることができるのである。「運転しなくても、客席に座っていて得た印象は運転してみたときの印象とだいたいリンクするものです」とは事情通。

BYDはいまやバス業界でも注目の的となっていた

 その場にBYDが存在しないことを不思議がるのはもっともな話にも見える。BYD側からしてもイベントに参加すれば、効率的に事業者などへの接触もできるので販売促進上でもメリットがあるように見えるのだが……。

 日本メーカーでもすでにいすゞが「エルガEV」を発売しているが、今回は会場で見ることができなかった(10月15~18日に千葉県幕張メッセで開催されていた『ジャパン・モビリティショー・ビズウイーク2024』には出品されていた)のは残念で仕方なかった。

 今後はBYDオートとして出展し複数台数のバス車両の展示及び試乗ができるようになる日も近いのではないかと密かに楽しみにしている。

BYDはいまやバス業界でも注目の的となっていた

「BYDが出展したら……」 いまバス業界は中国メーカーの動向に戦々恐々!