“推し活”を応援するトレンドメディア「Fandomplus」では、編集部が衝撃を受けた“推しプラモデル”を連載で紹介していく。本稿では、朽ちたザクヘッドが印象的な「Blank」というジオラマを制作。SNSに投稿し、話題になったモデラー・あにさん(@aniu2)さんにインタビューを実施。制作にいたる経緯や、制作過程で最も苦労したポイント、この作品を通じて学んだことなどを振り返ってもらった。
【ガンプラ写真】臨場感あふれる構図が秀逸!ジオン兵の背中越しにザクヘッドを撮影
■さび塗装や残骸を配置する角度にもこだわった
――本作品を制作するにあたり、どのようなアイデアやインスピレーションがありましたか?
もし、私たちが生きている現実の世界に突然、非現実的なものが紛れ込んできたらどう感じるでしょうか。その違和感をジオラマとして表現したらおもしろいのではないかと思い、この作品を作りました。
ここでいう“非現実的なもの”とは、巨大なロボットの頭部、つまりザクの頭です。これがもし現実世界に存在していたら、どんな材質で、どんな壊れ方をするのか?それを想像しながら、ザクヘッドが放置されている場所やその物語を膨らませていきました。
――制作過程で最も難しかった部分は何でしたか?また、それをどのように乗り越えましたか?
ザクの頭が転がっている場面を作るのに非常に苦労しました。最初はジャングルを舞台に考えていましたが、なかなかアイデアがまとまらず…。そこで考え方を180度変え、舞台を夏のジャングルから冬の枯れた草木の風景に変更しました。その結果、夏のジャングルよりも哀愁を感じさせる作品になったのではないかと思います。
――今回の制作で最も楽しかった部分は何でしたか?
ザクがどんな材質でできていて、どんな構造なのか、そしてそれがどう朽ちていくのかを想像しながら作業するのがとても楽しかったです。特に塗装作業が好きで、塗れば塗るほどにザクがさびていく感覚がたまりませんでした。
――この作品で特に気に入っているポイントはどこですか?
「構図が安定していると作品がつまらなくなる」という私の持論があります。そこであえて不安定な斜面に、こちら側に倒れそうな角度でザクを配置しました。やりすぎるとわざとらしくなりますが、今回はそのバランスがうまく取れたのではないかと思います。
――この作品を通じて、プラモデル制作における新しい発見や学びはありましたか?
ジオラマにおけるフィギュアの重要性を感じました。具体的にはふたつありまして、まずひとつは“スケール感”です。フィギュアを配置することで、ザクヘッドの大きさが想像しやすくなって。制作者としても常にスケールを意識して制作することができ、作品の解像度も増したんじゃないかと感じています。
そしてふたつめは“物語性”になります。フィギュアを配置することで、そこに物語が生まれて。35分の1というスケールではフィギュアの表情を読み取るのは難しいですが、わずかなポーズでも感情を表現できることを知りました。たとえば、両手をポケットに入れてザクヘッドを見上げる姿勢だけでも、そこに物語が生まれます。今回は登場人物はひとりだけでしたが、次は人物を増やし、人間同士のドラマを表現してみるのもおもしろいかもしれません。
取材・文=ソムタム田井
(C)創通・サンライズ
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