AIプラットフォームを提供するAI inside(東京都渋谷区)は、年商500億円以上の大企業に勤務し、業務における生成AIの導入に携わった218人を対象に「生成AIの業務適応と課題に関する実態調査」を実施した。勤め先の生成AIの活用状況については、1位が「全社的に本格活用中」(33.9%)、2位が「一部の部門での活用」(32.1%)、3位が「試験的活用(PoC実施中含む)」(14.7%)となった。
●「回答品質の一貫性の欠如」「セキュリティリスク」超えた技術的な課題は?
生成AIの活用にあたり、技術的な課題に不安を感じているかについては「やや感じている」(61.9%)と回答した人が最も多かった。「非常に感じている」(22.5%)と合わせると、84.4%が生成AIの活用に不安を感じていることが分かった。
「非常に感じている」「やや感じている」と回答した人に、どのような不安を感じるかを尋ねた。最も多かったのは「誤情報の生成(ハルシネーション)」(59.2%)で、「機密情報の漏洩などセキュリティに関するリスク」(54.9%)、「回答品質の一貫性の欠如」(54.3%)と続いた。
他には「情報の信憑性。人権侵害の恐れ。著作権侵害の恐れ」「再現度が不十分なためチェックが欠かせない」などの声も挙がった。
生成AIを効果的に活用するために、技術観点において、どのような要素が必要だと感じるかについては、「セキュリティの強化」(59.2%)が最も多く、「AIが生成した誤情報への対策(ハルシネーション対策)」(55.5%)、「出力結果の一貫性」(51.8%)が続いた。
●課題「ハルシネーションの検出と対策」と同率1位になったのは?
勤め先の生成AIの活用状況について、「全社的に本格活用中」「一部の部門で活用中」「試験的に活用中(PoC実施中含む)」と回答した人に、活用においてどのような課題を感じているか聞いた。
「AIが生成した誤情報(ハルシネーション)の検出と対策」と「セキュリティとプライバシー保護の徹底」が56.8%で同率1位となり、特に「ハルシネーション」や「セキュリティリスク」が活用障壁として大きく、実用化に向けた対策が求められる結果となった。
最後に、特定企業のデータを活用したカスタマイズSLM(特化型小規模言語モデル)の利用を検討しているかを尋ねた。最も多かったのは「やや検討している」(44.5%)で、「かなり検討している」(32.0%)、「あまり検討していない」(13.8%)が続いた。
同社は「企業が生成AIによる生産性向上やビジネス価値の最大化を図るためには、信頼性の高いデジタルデータをそろえ、それに基づいたカスタマイズLLM・SLM運用により、業務に特化した専門性の高いAI活用の実現が鍵となる」と分析した。
調査は、年商500億円以上の大企業に勤めており、業務における生成AIの導入に携わった218人を対象にインターネットで実施した。期間は10月1~2日。
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