デボン紀後期に生息していた肉鰭類「ティクターリク」 image credit:public domain/wikimedia[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%AF%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%82%AF#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Tiktaalik_roseae_life_restor.jpg

 ロボットは最先端の技術だが、その見据える先は未来ばかりとは限らない。もしかしたら大昔を見つめる最高のアプローチにもなるかもしれない。

 ケンブリッジ大学の科学者たちはロボットを使って、古代の魚が3億9000万年前に海を捨て、陸へ歩み出すことを決意したプロセスを明らかにしようとしている。

 太古の化石は貴重な手がかりだが、貴重すぎてわかることには限界がある。そうした過去の空白を最先端のロボットが埋めてくれるかもしれないのだ。

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ロボットで古代の魚が陸へと歩みだしたプロセスを再現

 古代生物を研究するうえで基本となるのは当時生きていた生物の化石だ。そんな古生物学の分野になぜロボットを持ち込もうというのだろう?

 その理由について、中心人物のマイケル・イシダ博士は、「化石は数が限られているせいで、古代の生物が陸に移行したプロセスは完全には解明されていません」と述べている[https://phys.org/news/2024-10-paleo-robots-experimental-approach-fish.html]。

 陸上動物の祖先はどのようにして水から陸へと進出したのか

 その経緯を解き明かしたい古生物学者たち、化石をもとにして股関節や骨盤関節の構造の変化を調べているが、数少ないサンプルからわかることにはどうしても限界がある。

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 そこで役に立つのがロボットだ。

 イシダ博士によれば、とりわけ脊椎動物の動きの主な変化を知りたいのならば、ロボットは情報の空白を埋めるのにぴったりであるという。

魚が陸上へと進出したプロセスの謎をロボットが解明してくれるかもしれない/UNIVERSITY OF CAMBRIDGE

古代魚の謎をロボットで探る補完計画

 そんなわけで、ロボティクス・古生物学・生物学など、各分野の専門家で構成されたチームが今作っているのが、筋肉や靭帯で動作する関節を再現した古代魚の骨格ロボットだ。

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 じつのところ、ロボットはまだ完成していない。だが出来次第、それを使って、古代生物がどのように動いていたかの実験を行なっていく予定であるという。

それぞれの歩行パターンを行うために、どのくらいのエネルギーが必要だったのか、それによって一番効率的になる動きはどれだったのか、そうしたことを解明したいです(イシダ博士)

古生物学とロボット工学を組み合わせ、生物の過去を探る  Credit: Michael Ishida

 そこから判明することは、最初の陸上生物の進化に関する従来の理論の裏付けになるのだろうか? それとも常識をくつがえす結果になるのだろうか?

 それは今のところわからない。来年中には何らかの結果が出るだろうとのことなので、楽しみに待っていよう。

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 この研究は『Science Robotics[https://www.science.org/doi/10.1126/scirobotics.adn1125]』(2024年10月23日付)に掲載された。

References: Robots could help scientists understand how fish started to walk on land | The Standard[https://www.standard.co.uk/news/science/robots-university-of-cambridge-b1189717.html]

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デボン紀後期に生息していた肉鰭類「ティクターリク」 image credit:<a href="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%AF%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%82%AF#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Tiktaalik_roseae_life_restor.jpg">public domain/wikimedia</a>