宮川大河による人気WEBコミックを原作に、“多数派”が失われる過酷な生き残りゲーム【多数欠】に巻き込まれる少年少女たちが命を切り開いていく姿を描くTVアニメ『多数欠』(日本テレビ、BS日テレ、RAB ⻘森放送にて毎週火曜日25:59〜順次放送中)。第2クールから登場となる葛西甲斐の声を川島如恵留が務め、Travis JapanとしてOPテーマの『Fly Higher』も担当する。今回、WEBザテレビジョンでは、収録を終えたばかりの川島にインタビュー。初めて声優にチャレンジした感想と、作品の魅力について語ってもらった。(※取材日:2024年4月)

【写真】川島如恵留が、アニメ『多数欠』のアフレコ直後に笑顔を見せる

■Travis Japanの夢も、個人の夢も同時に叶った

――川島さんはもともとアニメがお好きだということで、今回のお仕事が決まった時の率直な感想をお聞かせください。

『T.G.I. Friday Night』という楽曲のMV撮影が終わり、メンバー全員揃っているタイミングでマネージャーさんから発表があったんですが、みんな喜んでくれましたし、僕自身も声優はずっと夢のお仕事だったので嬉しかったです。徐々にその嬉しさがグラデーションのように緊張に変わっていったんですが、収録をずっとずっと楽しみにしていました。

――今回、Travis JapanでOPテーマも担当することになりましたが、それもその時に発表があったのでしょうか。

そうです。まず「アニメOPテーマが決まりました!」と言われた瞬間に、ドカン!って盛り上がって(笑)。お互いの手を握り合って「やったね!」って言っている最中に、僕が声優をすることも発表されて、そのままみんなで一緒に喜びました。あの瞬間は、今でも忘れられないですね。Travis Japanとしてデビューしてからずっと、日本が世界に誇るアニメコンテンツにいつか自分たちの曲が使われたら嬉しいねって言い合っていたので、それが叶った上で僕個人の夢も叶い、幸せでいっぱいでした。やっぱりOPテーマって作品のイメージとすごく結びつくものだし、海外の方に「日本の曲で何が好き?」って聞いたら、大体アニメの曲を答えるじゃないですか。そのOPテーマをTravis Japanで担当させていただけるっていうのはメンバーとして本当に誇りに思います。

――事務所の先輩にも声優のお仕事をされている方がいらっしゃると思いますが、どなたかにお話を聞いたり、アドバイスをいただいたりしましたか?

それこそ、Kis-My-Ft2の宮田(俊哉)くんなんかは色んなアニメ作品で声優をされていらっしゃるじゃないですか。だから真っ先に報告したかったんですけど、公表前だから誰にも話しちゃいけないものだと思って、ずっと黙ってたんですよ。そんな中で、4月10日に『WE ARE! 』という事務所全体のイベントを東京ドームで行ったんですが、その待機時間に宮田くんが「さっきトラジャのマネージャーさんから声優をするって聞いたんだけど」って僕のところに来て。あえて黙ってたのにマネジャーさんが言っちゃうんかい!って心の中でツッコミつつも(笑)、喜びを共有できると同時に、実際に声優のお仕事を経験された宮田くんから直接、アドバイスいただけて本当に助かりました。その時に色々と教えていただいたんですけど、特に印象に残っているのが「最初にやりすぎかなってくらい思いっきりやってみて、そこから監督さんと相談しながら少しずつ直していく過程を楽しんでね」という言葉で。本番でも、その言葉を意識して頑張れたんじゃないかなと思います。

――実際にアニメがスタートしたら観てほしい方はいらっしゃいますか?

宮田くんはもちろんそうですし、アニメ好きで知られているSnow Manの佐久間(大介)くんにも観てほしいです。それこそ、お二人はたくさんアニメを観ているし、色んなアニメイベントにも出演されていますよね。そのお二人がおすすめしてくれたら間違いないと思うので、ぜひこの『多数欠』という作品を観ていただいて、魅力を広めてほしいです(笑)。

良い意味で違和感なくスルッと流れていってくれれば

――声優に初挑戦するにあたり、事前に準備されたことがあれば教えてください。

実は今回、自分のアフレコが始まる前に他の声優の皆さんが収録されているところを見学させていただいたんです。その時に入賀煉役のKENNさんがアフレコ現場でのイロハを手取り足取り教えてくださって。それを踏まえつつ、本番まで自宅で台本を読み込み、スマホで自分の声を録音してニュアンスを確認するなどの準備をしました。

――録音した自分の声を聞いてみていかがでしたか?

普段から自分の声はTravis Japanの曲やテレビ番組で聞いてはいるんですけど、声優としての自分の声はそれとまた違って、不思議な感覚でした。作品から浮いちゃわないかなという心配はありつつ…でも、自分の声は嫌いじゃないですね。というのも、自分の声がそのまま葛西甲斐というキャラクターのイメージになるわけじゃないですか。それなのに自分の声が嫌いだって言ったら、観てくださる方に失礼だと思うので、自分が持っている声質も活かしながら命を吹き込んでいけたらいいなと思います。

――アフレコでは監督さんから、どんなリクエストがありましたか?

僕が声を担当させていただく葛西甲斐は、ちょっと悪役っぽいキャラクターなんです。ちょっと中二病っぽい感じ(笑)。そこに愛らしさがあって僕は大好きなんですけど、僕自身のパブリックイメージがいわゆる“優等生キャラ”で対照的なんですよね。だから、「もう少し低い声で」とか「ちょっとがなってみて」というリクエストはありました。そういう風に怒りを表現するシーンがいくつかあったので、監督さんたちと相談しながら声を当てていった感じです。今回僕としては普段からアニメを観ている方が引っかからずに、というのが一番の目標で、良い意味で違和感なくスルッと流れていってくれればいいなと思っていて。同時にTravis Japanを応援してくださるファンの皆様に「如恵留ってこんな声も出せるんだ!」って思っていただけるようなお芝居を心がけてみました。

■多くの人に愛してもらえるように、7人の声でOPテーマに命を吹き込む

――改めて、『多数欠』という作品の魅力を教えてください。

まずストーリーと設定がめちゃくちゃ面白くて。単なるバトル漫画でもないし、かといって謎解きモノかと言ったらそれだけでもなく、「今までこんな作品なかったよね」って思うような作品になっています。こんなにたくさんの要素が融合しているのに一貫性のあるストーリーになっているのが、すごいなと思いました。あと、キャラクターのバリエーションが豊かで、かつ嫌いになるキャラが一人もいないんです。原作者である宮川大河先生もおっしゃっていたんですが、絶対にどのキャラにも好かれるポイントがあって、絶対悪がいない。だからぜひアニメを観ながら自分の推しを見つけてほしいですね。

――ちなみに川島さんの推しは誰ですか?

甲斐はもちろんですけど、原作を読んでいてごぼう(護国鳳天寺暴麟丸)が大好きになっちゃいました。本作のキャラクターにはそれぞれ「特権利」という特殊能力が備わっているんですが、ごぼうが持っているのは「表示権」といってただ情報を画面に写すだけの能力なんです。だけど、実はその能力が戦闘にも使えたり、仲間で情報を共有し合うネットワークにもなったりするんですよね。そういう風に一見強くない力を上手く使いこなして、みんなを助けるところがかっこいいんです。

――Travis Japanとして担当するOPテーマの『Fly Higher』について、どんな楽曲になっているかを教えてください。

(※2024年4月取材時点)まだ僕たちも完成した状態では聞いていないんですが、Travis Japanの楽曲が起用されるのは第2クールからで、作中でも戦いが激しさを増していくタイミングだと思うんですよ。だから疾走感があって、キャラクターをより魅力的に感じてもらえる爽やかなJ-POPみたいなものができたらいいなとは思ってますね。それこそアニメのキャラに声を当てるのと同じように、僕たちも7人の声で新しい楽曲に命を吹き込むわけじゃないですか。だから、やっぱり多くの人に愛してもらえるように作りたいですし、それがTravis Japanの世界の中だけで完結するんじゃなくて、『多数欠』という作品と合わさった時に初めて完結するような楽曲になったらいいなとも思っています。

■次に声優をするなら、ゴリゴリの悪役をやってみたい(笑)

――今回、声優に初挑戦されて、今までのアニメの見方や作品に対する考え方から変わった部分はありましたか?

アニメを一視聴者として観ていた時は、単純に「絵が綺麗だな」とか「スピード感があって面白いな」っていう風に思っていたんですけど、今回声優として制作現場に入ってみて、僕たちが観ている一つひとつの要素に意図を持たせて作られているものなんだなと思いました。例えば、キャラクターの声にしても裏で声優さんが声を当てているわけじゃないですか。でもそれを一切感じさせず、キャラクター自身が喋っているように聞こえさせるのが、いかにすごいことなのか。裏側を知ってからより感動するようになりましたし、新しい楽しみ方が増えて、ストーリーや流れを知った上で、こだわりポイントを確認するために何度も観返すようになりました。

――もしまた声優のお仕事をされる機会があったら、演じてみたい役や挑戦してみたい作品のジャンルはありますか?

今回演じた甲斐が悪役っぽさもありながら、どこか憎めない可愛さがある子だったので、次はゴリゴリの悪役を演じてみたいですね(笑)。やっぱりヴィランが輝いていると、その分ヒーローがかっこよく見えるじゃないですか。僕はアニメにもなっている少年ジャンプ作品の『僕のヒーローアカデミア』がスマホケースにステッカーを貼ったり、ラバーストラップをつけたりするくらい好きなんですけど、それこそヴィランが輝く作品なんです。だから僕もいつか悪役に徹して、「やっぱヒーローってかっこいいな!」って思ってもらいたいですね。

――最後に視聴者の皆さんにメッセージをお願いします!

初めての挑戦となりましたが、自分なりにいっぱい準備して、本番でも今出せる100点満点を出したつもりでいます。観ていただく方が「今、如恵留の声だった?」って思わず聞き逃しちゃうくらい一生懸命頑張ったので、聞き逃さないように葛西甲斐というキャラクターに注目しつつ、新しい挑戦に際してワクワク楽しんでいる僕の感覚をリアルタイムで一緒に味わっていただけたら嬉しいです!

■取材・文=苫とり子/ヘアメイク=佐藤紀子(JOUER)/スタイリング=横田勝広(YKP)

川島如恵留