中国メディアの正解局は11日、「中国人が口にしている食品添加物は本当に日本や欧米よりも多く、ひどいのか」と題する記事を掲載した。
記事は、先日、中国のパン製造会社・桃李面包が「今後当社の製品には(食品保存のために用いられる)脱水素酢酸ナトリウムは一切含まれなくなる」との声明を発表し注目を集めたことを紹介。三只松鼠、良品舗子、達利園などの食品会社でもそれぞれ調整が行われており、背景として今年2月に国家衛生健康委員会が脱水素酢酸ナトリウムについて新たな使用規定を定めたことを伝えた。
そして、「中国人は食品添加物を心底心配し、恐怖さえ感じている」と説明。「1980年代には数十種類ほどしかなかったが、経済の急速な発展に伴い現在では2400種類以上が使用されるようになった。その市場規模は2021年にすでに1399億元(約2兆9700億円)に達している」とした上で、「脱水素酢酸ナトリウムなどの防腐剤には一定の毒性があるがすべては量次第で、長期的に摂取しない限り害はそれほど大きくないが、場合によっては腎臓や肝臓、中枢神経に影響を与えるため、神経質になる人もいるだろう」と述べた。
また、食肉などの保水性を高めるリン酸塩、小麦粉改良剤の臭素酸カリウムなどについて「食感などにも影響するため多くの業者が使用しているが、過剰に摂取した場合は骨粗しょう症や動脈硬化になる可能性もある」と指摘した上で、「食品添加物業界において最大の暗黙のルールは秘密を守ることであり、消費者の健康に影響を与えることもいとわない。添加物を使用すれば価格をより低くでき、より多くの消費者を引き付けることができる。消費者は低価格で購入しようとすればするほど、このわなにはまりやすくなるのだ」と論じた。
記事は、「人工製造品が過剰になるのはいつも天然物質が不足することに起因している」とし、19世紀に欧米でバターの変わりにマーガリン、砂糖の代わりにサッカリン(人工甘味料の一種)などが開発され、広く使用されてきた歴史に言及。ベトナム戦争で使用された除草剤エージェント・オレンジを製造したモンサント社も各種の添加剤を開発しており、18年にバイエル社に買収されるまで高い地位を保ってきたとし、「今や添加物は人類の食品工業に不可欠なものとなっている」と論じた。
そして、「欧米と比べると中国の食品添加物産業の発展は比較的遅かったが、規制の面から見ると、中国の姿勢はより厳しい」と説明。「欧州では一般にパッケージに大まかな種類を表示するだけでよく、米国では安全とされる添加物や栄養型添加物は記載を省略することができるが、『中華人民共和国食品安全法』ではすべての原料を記さねばならないと明確に規定されている」と強調した。
その上で、「海外から帰国した家庭などは(中国)国内のスーパーで菓子類を買う勇気がないという人が少なくないが、そのくせ、欧州の友人宅で出されたホウ砂が添加されたキャビアは口にする。ホウ砂は3グラムで乳児が死に至るほどの有害物質で、中国では添加剤としての使用が禁止されている」と紹介した。
一方で、「中国の地下軽食街や屋台などで販売されている塩漬けされた肉などに使用される添加剤は、恐ろしいことに合法であるにもかかわらず発がんリスクがある。消費者は分かっていても選択肢はない」とし、「技術的には食品添加物は極めて専門的な分野であるにもかかわらず、それを専門に学ぶ大学の学科は中国を含め米国や日本にもない。食品会社の従業員は部分的な技術を用いて職場で学ぶしかなく、産業上の潜在的な危険は多い」と論じた。
記事は、「中国では国内の飲食物に対して悲観的論調があり、背景には中国の食品問題は西側諸国よりも大きいという『深い誤解』がある。しかし実際は米国にせよ、欧州にせよ、日本にせよ、使用している添加物は中国よりも多い」と強調。「彼らの食品安全問題も決して少なくなく、たとえば日本の食中毒事件は、ここ20年で最少だった21年でも717件も起きており、高齢者施設まで含まれている。中国ではすでに禁止されたホルモン剤も、米国では依然として合法だ」とし、「だから私たちは他国に教えを乞う必要はなく、むしろ自分たちの産業をきちんと見直さなければならない」と指摘した。(翻訳・編集/北田)
コメント