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(写真:時事通信

第2次石破内閣の発足に伴い、新たに発表された副大臣と政務官。政治資金収支報告書に不記載があった“裏金議員”の起用はなかったが、政務官の顔ぶれが不評を買っている。

決定直後に注目を集めた政務官は、生稲晃子参院議員(56、外務)と今井絵理子参院議員(41、内閣府・復興)の“タレント議員”。だがその陰では、“ある世襲議員”の存在にも関心が寄せられているようだ。

その人物とは、元防衛大臣・岸信夫氏(65)の長男・岸信千世氏(33)。先の衆院選で山口2区から立候補し、直接対決となった立憲民主党・平岡秀夫氏(70)を1,724差でなんとか制した。当選は今回で2回目となる。

「信千世さんは慶応義塾大学を卒業後、フジテレビの報道局社会部で警察庁宮内庁・皇室などを担当していました。’20年9月に父・信夫さんが防衛大臣に就任すると、その2カ月後に信夫さんの政務秘書官に転身。’22年8月に信夫さんが防衛大臣を退任した後も、信千世さんは秘書として支えてきました。

いっぽう信夫さんは車椅子で移動するなど健康面が不安視されていたこともあり、同年12月に出席した後援会幹部の会で『このあたりで信千世に譲りたい』と引退を宣言。信千世さんは父の期待を背負い、’23年の山口2区の補欠選挙で初当選したのです」(社会部記者)

先の衆院選では、当選直後に支援者の前で「我々、若い世代でしっかりとこの後の未来を見据えて、そして我々が再びまた信頼をしていただける、そんな党に、私個人が、そしてチーム全体、党全体で変えていく。強い決意をもってこの2期目臨んでいきたい」と決意表明していた信千世氏。

だが、デジタル大臣政務官兼内閣府大臣の政務官に任命されたことが明らかになると、Xでは不満が噴出することに。

《生稲、今井も酷いが これも酷い》
《人材がしょぼすぎないか? 自民党》
《極度な人材不足に陥っている自民党と見られる》
《今井絵理子生稲晃子、さらに のぶちよ! 石破さん打診しても断られすぎて頼める相手が誰もいないってこと?》
《外務政務官に生稲晃子、内閣府政務官に今井絵理子、そしてデジタル政務官&内閣府政務官に岸信千世かあ。政務官って、ポンコツでも務まる簡単なお仕事なんだね。それとも自民党にはもうポンコツしかいないのかな?》

こうした声が上がってしまうのは、フジテレビ時代の働きぶりも影響しているようだ。

’19年9月に横浜市京急線の快速電車がトラックと衝突して脱線し、トラック運転手が死亡、乗客ら33人が重軽傷を負った事故が発生したことがありました。当時、報道記者として働いていた信千世さんは、乗客らが搬送された病院の前から中継リポート。しかしスタッフから『大きい声で、大きい声で』と促されるなど、始終緊張しきりだったのです。

スタッフから『岸記者、お願いします』と言われるも、リポートを始めるまで約5秒の間が空いていましたね。ようやく『えー、横浜市みなとみらいの……』と語り出していましたが、言葉が上手く出ずに何度も噛む始末。当時も視聴者から、“大丈夫か?”と不安の声が上がっていました」(テレビ局関係者)

さらに昨年2月には、“華麗なる家系図”が炎上したことも記憶に新しい。

当時、信千世氏の事務所公式サイトでは、プロフィール欄に「家系図 FAMILY TREE」と題した家系図を掲載。伯父の安倍晋三元首相(享年67)や曾祖父の岸信介氏(享年90)など、政治家として名を馳せた錚々たる親族の名前が並んでいた。信千代氏は同年4月の衆院山口2区補欠選挙に出馬表明した直後とあって、ネットでは“親族を堂々とアピールするな”“世襲を利用するな”と批判を集めたのだった。

結局、家系図はひっそりと公式サイトから削除されることに。しかし削除した経緯の説明などは一切なかったため、さらなる波紋を呼んだ。加えてネットでは、サイトURLが信夫氏のサイトから使い回されていることや、政策の文言まで信夫氏と一言一句同じであることを指摘する声も上がっていた。

本誌は当時、一連のサイト運営について信千代氏の岩国事務所に取材を試みたが、「サイトに関してはご説明出来かねる状況ですので」との返答にとどまった。

「フジテレビ時代はリポート経験が少なかったのかもしれませんが、政治家に転身したとなれば、大事な場面で怯むことのない“胆力”も求められます。先の選挙戦では堂々とした演説が印象的でしたが、政務官就任に対して批判の声が上がってしまうのは、いまだ不安を抱いている人も多いということでしょう。また公式サイトに掲載した家系図を削除した理由も、いまだにきちんと説明されていません。政治家として活動する以上は、何か起こった際に説明責任を果たすことができなければ、国民の信頼を得ることは難しいでしょう」(前出・社会部記者)

政務官に起用されたことで、負のイメージを覆すほどの活躍ぶりを見せてくれるだろうか――。