一見すると鳥がアリの大群に襲われているのでは?と心配になるかもしれないがむしろその逆だ。自らアリたちを誘い、体をきれいにしてもらっているのだ。
鳥が自らの羽をアリ(蟻)にこすりつけてたり、体に這わせる行動は「蟻浴(ぎよく)」と呼ばれており、アリが出す化学物質でダニなどの寄生虫を駆除してもらっているのだ。
そのことをわかったうえで見ると、この鳥は体をきれいにしてもらって、気持ちよさそうにしているようにも見えるよね。
鳥が蟻を利用して体をきれいにする「蟻浴」
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鳥は、羽をきれいに保つために、くちばしで羽づくろいをしたり、水浴びや砂浴びを行ったりしたりと、様々な方法をもっているが、中でも特殊なのが、昆虫であるアリの群れを利用した「蟻浴(ぎよく)」である。
250以上の種が蟻浴することが知られており、日本だとカラスやムクドリなどがあげられる。
南アフリカの野生動物を間近で見られる宿泊施設、ウムクンベ・ブッシュ・ロッジ[https://www.facebook.com/watch/?v=1235167110904492]のスタッフが撮影した映像には、体中這わせたアリに、その身をゆだねている鳥の様子が映っている。
この鳥の種は、アリが多すぎてはっきりとはわからないのだが、まだ子供のヒナのようにも見える。わかる人はいるかな?
唯一わかっていることは、わざとアリの巣の上に座って、出てきたアリが自分の体を這いまわれるようにしていることだ。
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アリにとって何のメリットがあるかどうかはわからないが、少なくとも鳥にとっては大変役立っている。
アリはギ酸といった、殺虫剤や殺菌剤として機能する化学物質を分泌するため、鳥にとっては体についた寄生虫を駆除してくれる存在になる。
とは言え、この映像を見ると、小さなアリたちが大群で鳥を襲撃しているかのようにも見えるわけで、見たままで判断する前に知識を得ることの大切さも教えてくれたりなんかしてるのかな。
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体の寄生虫を駆除してもらう以外にも、自分の羽についた昆虫を、アリの有害な酸で弱らせて食べられるようにしているという説もある。
蟻浴のスタイルはさまざまで、この鳥のように、わざと巣の上に座ってアリが体全体を這い回るのを待つ鳥もいれば、自分でアリを羽にこすりつけるタイプの鳥もいる。
以下の動画はカラスだが、カラスは羽をこすりつけるタイプのようだ。
ということで、アリに襲われている鳥はいなくてよかった。むしろアリを有効活用するなんて賢いね。
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この技、風呂キャンセル界隈とかにもどうだろう?まあ絶対無理だろうけど。
References: Little Bird Gets Swarmed By Ants — But It's All A Clever Trick - The Dodo[https://www.thedodo.com/daily-dodo/little-bird-gets-swarmed-by-ants-but-its-all-a-clever-trick]
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