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弁護士になると、日弁連に登録するとともに、各都道府県の単位会にも必ず所属する。単位会は通常、一都道府県につき一つが設けられているが、東京のみ、東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会の三つに分かれている。弁護士はこの中から一つ選択して所属することになる。
三つにわかれていることが「弁護士法32条に違反している」として、道本幸信弁護士、齊藤誠弁護士ら7人の弁護士が東京地裁に提訴した。提訴は11月11日付。
12月4日に開いた記者会見で、齊藤弁護士は「これまで弁護士会内で20年以上活動してきたが、この状況を変えるに至らず、提訴に至った」と語った。
●三つの会に分かれていることによる具体的な不利益は?齊藤弁護士は会見で、三つの会に分かれていることは「国民にとっても大きな不利益となる」と話した。
「たとえば大阪弁護士会では大阪府の全自治体の法律相談ができている。しかし、東京の法律相談窓口は、新宿・池袋・蒲田など、一部にしか設置されていない。東京では各区の法律相談は、地区法曹会という任意団体が担当せざるを得ない状態が続いている。
三会を一つにして、統一した意思決定を迅速に行えるようにしていかないと、このような問題も解消されない。
会員の不利益として、三会の間に壁があり、活動がバラバラになっている。会長も事務局も三つに分かれ、システムの維持費なども別々に発生してしまう。弁護士会館の維持費の問題も、会が3つに分かれていることから、なかなか話が進まない」
(他の具体的な不利益等の主張などは弁護団が「合併.com」にて記載している)
●なぜ裁判なのか会見では、「弁護士自治との関係からも、裁判ではなく内部で話し合うべき事項ではないのか」という質問も寄せられた。
これに対し、齊藤弁護士は次のように話した。
「弁護士自治という観点からすれば、本来は裁判所での解決にはなじまないであろうと考えられる。そこで二十年以上前から、選挙などを通じて解決を図ろうとしてきた。しかし、弁護士会の中には派閥・会派というものがあり、内部のみでの解決は困難である。
弁護士会の中で説明を尽くして、個人個人の弁護士に内容を頭では分かっていただいても、なかなか選挙で結果を出して組織を変えていくことは難しい」
●弁護士会が三会に分かれていることは「違法」であるという主張訴状などによれば、原告は以下のように主張している。
弁護士法32条は「弁護士会は、地方裁判所の管轄区域ごとに設立しなければならない。」と規定している。
この規定は、1つの地方裁判所の管轄内に、1つの弁護士会を置く趣旨である。(※1)
なお、同法附則89条では、「この法律施行の際現に同じ地方裁判所の管轄区域内に在る二箇以上の弁護士会は、第三十二条の規定にかかわらず、この法律施行後もなお存続させることができる。」と規定している。
同附則は、特に「いつまで」存続させることができる、という限定を置いていないことからすると、三会に分かれた状態が存続しても、違法とはいえないとも思える。
この点について、訴状では、現行の弁護士法の制定過程に言及し、同附則はあくまで経過規定であり、解消を前提としている旨が記載されている。
(※1)一見すると、管轄区域ごとに「1つの弁護士会のみ」設立できるとは記載されていないようだが、「条解弁護士法 第5版(弘文堂、日本弁護士連合会調査室編著)」によると、同条は「『一地方裁判所管内に一弁護士会』という原則を貫くこととしたのである。」とされている。
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