後輪駆動のような走り
筆者は先日、AUTOCAR誌のテスターや記者たちと、新型ルノー5 Eテックの高性能バージョンであるアルピーヌA290について少しばかり話し合った。
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素晴らしいのは、充電ポートの位置や航続距離、運転支援システムの使いにくさについて “一切話さなかったこと” だ。
代わりに話題になったのは、スナップ・オーバーステア(昔のルノー・スポールのホットハッチほどではないが、大半の競合車よりも強い)や、トルクステアを低減するためにマクファーソン・ストラットに追加のステアリングナックルを設けるべきだったかどうかについてなど、昔ながらの話題だった。
アルピーヌが後輪駆動の誘惑にかられたとしても、リアにモーターを取り付けるのではなく、前輪駆動のままにしたことにも興味をそそられた。
アルピーヌはA290の発表イベントで、後輪駆動にすることは「技術的には可能」だと、少しためらいがちに認めていた。
実際には、ほとんど何でも技術的には可能だが、コストの問題がある。それに、アルピーヌは軽量車が好きだ、と公言している。
少なくとも現時点では、EVを同等のサイズとパワーを持つ内燃エンジン車と同じくらい軽量にすることはできないが、アルピーヌは重量とサスペンションのレスポンスをコントロールすることで、少なくとも競合他社よりも軽く感じられるようにすることができる。
1500kg近いA290は、4.0m未満のハッチバック車としては重量級だが、現代のEVの全体像から見ると、それほど重いわけでもない。
標準の5 Eテックと同じ52kWhのバッテリーを載せ、前輪駆動を維持するという決定は、予算上の理由によるものかもしれないが、ダイナミクスの観点からも賢明な判断であると思う。
AUTOCARのイリヤ・バプラート記者が筆者に言ったように、二輪駆動と四輪駆動の選択肢があるEVにおいては、二輪駆動バージョンのほうが運転しやすいことはほぼ確実だ。
筆者はポルシェ・タイカンとボルボEX30について、そう考え、そう言ってきた。後輪駆動でモーターが1つのモデルは、モーターが2つのモデルよりもうまく走り、より優雅に、より俊敏に操れる。
とにかく、筆者はクルマについて語り合うのが好きだった “あの頃” のように、愛好家と語り合える新しいクルマを見つけられて嬉しい。A290は、最新技術と昔ながらの雰囲気を併せ持つクルマである。
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